きみの隣にいること / さんみち (ページ9)

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備考③ ページ9

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▼ 元の世界に帰りたい？
　元の世界に帰りたい、というよりかは親友に会いたいがために協力的である。この世界も存外悪くないし、生活に必要な物資も揃っているし、あとは親友さえいてくれれば別になんの問題もなかったと思っている。

▼ 親友について
　小野寺(おのでら) 尊(みこと)──恵美は彼女を「みーちゃん」と呼び、心から慕っている。彼女は幼馴染であり、かけがけのない存在である。恵美の家からは少々離れた場所に住んでいる。
　背丈は恵美より少し高いくらいで恵美と似た人懐っこい顔立ちをしている。小学校も中学校も別々のクラスに振り分けられたことがなく、ずっと同じクラスである。

　出会いは小学生1年生の頃、両親と会えない日が続い
てずっと暗い顔をしていた隣の席の恵美に尊が声を掛けたことから始まった。

「どうしたの？」

「お母さんとお父さんがね、お話してくれないの」

「そっか。じゃあ私とお友達になる？
いっぱい遊んで、悲しいことを忘れるの！」

　それから2人は毎日のように遊んだ。暗く、おとなしい性格だった恵美は彼女に影響されてみるみる明るくなっていった。社交的になって友人が大勢できたが、やっぱり恵美にとっての一番の友人は長年一緒に遊んでくれた、そしてあのとき声を掛けてくれた尊だった。

　尊に固執する理由は「大好きだから」、ただそれだけ。その想いがあまりにも強く、無意識に依存してしまっている。長年嫌な顔一つせず遊んでくれているので、「自分を拒否せず受け入れてくれる」という安心感があるのも理由の1つかもしれない。

　しかし遊ぶことによって紛らわせていた“寂しさ”への恐怖心もより一層強くなり、孤独を極端に恐れるようになってしまった。加えて無理をしてでも友人を作ることで孤独から自身を遠ざけようとするようになっていった。
　ゆえに「お友達と話して遊ぶことが好きだから」ではなく、「お友達がいないと孤独との距離が近くなるから」として友人作りに励んでいるようにもみえるが……その真意は彼女のみぞ知る。

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