きみの隣にいること / さんみち (ページ8)

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備考② ページ8

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▼ 家庭環境 / 生い立ち
　家族構成は父、母、恵美の3人。裕福な家庭で豪邸である。父が医師、母が弁護士を就いており両親ともに仕事で忙しく、家に帰っても娘と顔を合わせることは大抵の場合ない。しかし恵美は、家に帰るとわざとらしく大きな声で「ただいま！」とつぶやき、一欠片の期待を胸にリビングへ駆け込む。誰もいないのは分かっているのに。

　ほら、やっぱり。

　テーブルの上に置かれた手紙と冷めた料理を見て口をキュッと結び拳を握りしめる。「電子レンジで温めて食べてね」。一人で食べてもちっとも美味しくなかった。そんな毎日が小学校に入学したのを境に続いた。
　最後に撮った家族写真は小学校の入学式。父と母が並び、母の下でピースをしてにっこり笑う楽しげな自分。両親との思い出なんて手で数えるほどしかなかった。否、忘れてしまったのかもしれない。道行く他の家族を見て羨ましいと思ったことが何度もあった。

　私の名前は恵美。よく笑うからえみ。

　お母さんとお父さんは、

　よく笑う子に育ってほしかったんじゃないの？

　授業参観をはじめ、運動会、音楽会、学習発表会、その他行事諸々。両親は今までに一度も参加してくれたことなんてない。ひとり広い屋敷に残され、孤独に過ごしていくうちに彼女の心にぽっかりと穴が空いた。
　次第にそれは大きくなっていき、それを必死に埋めるようにして学校では様々な人と積極的に関わるようになっていった。心の拠り所を探すために。これ以上独りで過ごしたくない。

　彼女の寂しさを満たしてくれるのはいつだって学校にいる友達だった。特に彼女の親友は心の支えであり、常に一緒に行動したいほど好いていた。家庭柄、慈愛の園学院へ入学する予定だったが、親友が希橋中学校へいくと聞いて入学先を変更した。
　もちろん両親には反対されたが、駄々をこねにこねて了承を得た。

▼ イメージソング
▽ 終わっちゃうが繰り返す / 弔ん様より

不安定で不気味な音色なのに可愛らしくまとまっている曲調が歪な彼女に合っているなと感じました。歌詞も、大好きな人と離れ離れになってしまうのを繰り返す毎日に苦しむ彼女の心境を歌っているように感じます。我慢できずに喋り続けてしまう自分を責めているような歌詞にも聴こえます。不協和音のはずなのに心地よく耳に残る耳障りなメロディー……大好きです。癖になっちゃうはずです。ぜひ一度聴いてみてください。

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