きみの隣にいること / さんみち (ページ16)

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希くんページ16

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▼ 伊吹希 / 褪紅様宅
▽ 希ちゃん、(女装バレ後)希くん ⇔ 恵美ちゃん

　恵美は彼を友人だと思っているが、希は彼女に不信感を抱き中々一歩を踏み出せない。
　恵美は彼に初めて会ったとき、「まさに可愛い女の子」という印象を持ち、すぐさまお友達になりたいと思った。そしていつものように質問攻めをしたり、沢山褒めたりした。希はそんな調子の彼女に気圧されつつ、しかし嫌だとは思わず、比較的良好な関係に落ち着いていた。
　人の長所を見つけるのが得意な恵美は思ったことを素直に口にする。最初こそ褒められるたびに照れたり、礼を述べていたりしていた希だったが、趣味でもないのに女装をする自分になぜそんなにも友好的なのか困惑、不信感といった感情を抱くようになる。
　だが他の人にも自分と同じような対応をする彼女を見て「彼女は八方美人なんだ」だという結論に至る。
　また、恵美は彼の女装が趣味ではないこと知ると「お人形みたい！」「可愛い！」などといった女の子に使うような褒め言葉は嬉しくない、むしろ不快な気持ちにさせているのではないかと考え、そのような褒め言葉は口にしなくなった。

「わああ、私のこと知ってるの？嬉しいな、嬉しいな！きみは希ちゃんっていうんだね。とっても可愛いね。握手しよう！私ね、私は希橋中学校出身で、なんていったらいいかな、ちょーっと治安が悪い中学校でね──いや、多分ね、みんながね、想像しているよりは普通の学校なんだけど──とにかくね、私の大好きな親友がどこにも見つからないから帰る方法探してるの！あ、ごめんね、距離が近かった？」

「ねえねえ、希くん。……あはは、引っかかった。私の必殺技、振り向きほっぺたツンツン！可愛いね。怒った顔も可愛いよ。希くんって本当に可愛いね！」

「えっ、あれれ、そうだったの？ごめんね、私ね、てっきりきみは女装が趣味だと思ってたの。だから『可愛い』とか、『女の子みたい』とか言われるのが嬉しいかと勘違いしてて……。ごめんね、本当にごめんね。これから気を付けるね」

「希くん？もちろん、お友達だよ。だって私とお話してくれるし、一緒にいて楽しいからね！ ……希くんって女装が趣味じゃないって言ってたけど、じゃあなんで女装してるんだろうね。私、気になるけどね、それを質問するのは我慢してるの。だってね、お友達がどんな格好していても中身は同じお友達でしょ。ね！」

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