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歩理ちゃん ページ13

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花幡 歩理 / 褪紅 様宅
▽ 歩理ちゃん ⇔ 恵美

 歩理はノンブレスでお話を続ける恵美をあまり快く思っていなかった。誤解しないでほしいのが、恵美のお喋りな性格をマイナスとは思ってない。
 肝心なのはその内容──例えば、『学校にお菓子を持ってくる子がいる』などといった希橋中学校の様子を楽しげに話すことから、真面目で気難しく、義母の教育の影響を強く受けている歩理は『なぜ楽しげに話すのか。注意はしないのか』という風に捉えて、結果として、語り口となっている彼女を快く思っていなかったのだ。
 しかし、そのような歩理が悪いと思った話には端折って説教じみたツッコミが入れつつも、怒りもせず、嫌な顔を一つせず、しかも笑顔で話す彼女の様子を見て「素行は良くないけど、悪い人ではないのかも」と感じている。一方、恵美も歩理の独特な説教から「不思議な子」として受け入れ、会話のテンポが合わないけど仲は悪くないという不思議な関係性で落ち着いている。


「わあ、初めまして歩理ちゃん! 私ね、私の名前はね、花咲 恵美っていうの。よろしくね。私は希橋中学校出身なんだけど、歩理ちゃんは有栖川中学校出身なんだよね。歩理ちゃんの学校はどんな感じなの?」

「私のところはね、とっても楽しいよ! 授業中にこっそり手紙をまわしてやりとりしたり、盛り上がる行事が体育祭ぐらいしかないからみんなすごく気合が入って盛り上が──え? まあ手紙がバレて先生に怒られたことはあるよ。でも神様に怒られたことはないかも。もしかして歩理ちゃんは怒られたこと……あるの?」


「歩理ちゃんは何飲むの? ……おお、ホットミルク! ありがとう。でも、いらないよ。私はこれ飲むよ。じゃーん、ホットココア。うん、ココアの方が甘いから好き! しかもね、これね、マシュマロも入れてるからさらに甘くなってるんだよ。今日は奮発して5個も入れちゃった! とーっても美味しいよ。歩理ちゃんも飲んでみる?」


「堕落かぁ……私、悪い子になってるのかな? 思い当たる節……うーん……毎回数学の勉強を全くしないでテストに臨んで赤点とって先生にガミガミ言われて補習させられることぐらいしか思いつかないな──それは違う? よかった、じゃあこれは悪いことじゃないんだね。だよね、私の所だと私の他にクラスの3分の2ぐらいの子が補習を──ん? 悪いこと? え、どっち? 『そのことじゃない』? でも私、他に思いつかないよ。歩理ちゃんがいつも言ってる『神様』には怒られたことないし……」



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作者名:レシクス | 作成日時:2022年7月31日 23時

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