氷国の女医2 (ページ9)

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Aside

『TO1、オープン』

手術着に着替え、

オペの準備が進むオペ室に足を踏み入れる。

準備が完了したことを確認してから

患者の前に立ち夏梅さんからメスを受け取り、

比奈先生の方を見ると

彼女も私のことを真っ直ぐ見つめる。

『始めます。開腹して出血箇所を探します。』

比「はい。」

ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ…

モニターの警告音が猶予の無いことを知らせる中、

患者の容態急変に注意しながら

損傷の見られる腹部臓器から出血場所を探す。

『ここか…』

体内で血溜まりを発見すると

おのずと出血箇所も明らかになる。

『比奈先生抑えて。』

他の臓器を傷つけないように

細心の注意を払いながら処置を行う。

止血したことを確認すると、一息つく。

ﾋﾟｰﾋﾟﾋﾟﾋﾞ…

止まらない警告音にモニターに目をやると

冬「血圧さらに下がってます！」

比「どうして…」

処置した場所に異常は見られない。

考えられるのは、

『他に出血がある…』

先程より大きくなった警告音が緊張を煽る中、

出血箇所を探る。

ミ「出血量1000いきそうです」

ミンさんの言葉が事態をより一層深刻にさせる

夏「このままでは出血性ショックを起こしかねません。」

オペに集中する中、

”出血性ショック”という言葉に身体が反応してしまう。

今は目の前の命に向き合わなきゃいけないのに、

目を背けた過去のトラウマが現状と重なる。