氷国の女医2 (ページ40)

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突然の着信ページ40

音の主は音羽先生のスマホのようで、

話の途中だったこともあり

ちらりとこちらに目線を送る彼に

『どうぞ』

と出るよう促す。

音「すみません、」

電話を取り席を外そうと立ち上がったかと思うと

音「お疲れ様です、はい目を覚ましました。

異常はありません。」

とその場で応対しながら私の様子をちらちらと伺っている。

恐らく母の側近からなのだろうか。

音「A先生、失礼します、」

そう言って今度は私の手首に手を伸ばし脈を測る。

音「呼吸も安定していますし、脈も正常です。

はい、かしこまりました。少々お待ちください。」

人の脈を測ることはあっても

測られたのは久しぶりだったので

少し呆気にとられていると、

今度は先程まで通話していたスマホを私に突き出す音羽先生

画面には【白金大臣秘書目黒】の文字。

『…？』

音「大臣の秘書の方があなたと話したいそうです」

言われるがままスマホを受け取ると耳に当てる。

『…お電話代わりました。』

目黒「お久しぶりです、Aさん。目黒です。」

聞き覚えのある声に、電話の相手は

母に長年仕える彼だと知る

『目黒さん、お久しぶりです。

母がいつもお世話になっております。』

目「お世話なんて滅相もございません。

Aさんもお元気そうで安心しました。

今日は飛んだ目に合いましたね、

ご気分いかがですか？」

『ご心配おかけしてすみません、

少し疲れが出てしまいましたが

もうすっかり平気です。』

目「それは良かったです。

お母様も大層気にしていた様子でしたので

その様にお伝えしておきます。」

『親子の面倒事に目黒さんまで巻き込んでしまって

ごめんなさい。』

目「とんでもございません。

あなたのお母様をサポートするのが

私の勤めですから。

一つ、お母様から言伝を預かっております。」

『言伝、ですか？』