氷国の女医2 (ページ39)

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Aside

『彼は、ジョンは何で来たかとか言っていましたか？』

音「今日のニュースであなたを見たと。

それであなたに会いに来たと言っていました」

『…そうでしたか

その様子だと過去の事も聞いたんですね』

音「彼が去った後、喜多見チーフがMERメンバーに話しました。

でもそれは私が打ち明けるよう仕掛けたからです。」

『別に話した喜多見チーフに対して怒ってなどいませんよ。

早いうちに私から話すべきでした。

あくまで私事だし話すとみんなに気を使わせてしまう

そう思っていました。

でも、それもきっと言い訳です。

私には勇気が無かった。

やっと蓋のできたトラウマに立ち向かう勇気が。

打ち明ける、というのはもう一度自分の手で

蓋を開ける行為になってしまうから

それが怖くて出来なかった…』

音「喜多見チーフはおそらく

彼が来たことをあなたに伝えないつもりでしょう。

でも彼はまた来ますと言っていました。

例えどれだけ喜多見チーフが引き離そうとしても

再会するのは時間の問題でしょう。

その上であなたに聞きます、

ジョン・ヴィークさんに会いたいですか

逃げたいですか」

彼は変わらず真っ直ぐこちらを見つめている

彼の真っ直ぐな視線に、私も真摯に心の内を話したい、自然とそう思った

『怖いけど、逃げ出したいけど、

…会いたいです。

彼は私の大切な友達だから。

もう一度会って2人で彼のフィアンセの死に向き合いたい…』

音「わかりました…

それがあなたの意思なら喜多見チーフも

MERメンバーも見守ってくれるでしょう。」

『ありがとう、音羽先生』

目から溢れた涙が頬を伝うのを感じつつ、

全て話してくれた音羽先生にお礼を言う。

音「いえ、私は」

Prrrrr…

彼がなにか言おうとしたタイミングで着信音が室内に響いた。