氷国の女医2 (ページ34)

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No side

喜「そうして彼女は救命科の専攻医として

一緒に働き始めました。

彼女が救命科に来て数ヶ月した頃、

病院の近くで車の単独事故があり

2人の患者が運び込まれました。

その日、病院では隣町で学会があり

残っていたのは俺とA先生だけでした。

運び込まれたのは男女で、

運転していた男性がくも膜下出血を起こし

道を反れ転落したのが原因でした。

俺はその男性を、

A先生は同乗していた女性の処置にあたりました。

…運び込まれた2人が

彼女の知り合いであることに気づいたのは

数時間に及ぶ手術を終え

学会に行っていた先生方が帰ってきてからでした。」

比「運び込まれた2人は…助かったんですか」

比奈先生の問いかけにゆっくりと結果を答える。

喜「俺が処置に当たった男性は命は助かりましたが

後遺症で片腕の不随、

そして脳に大きな手術痕が残りました。

彼女が処置に当たった女性は残念ながら…」

比「そんな…」

冬「もしかしてその男性って…」

喜「そうです。さっき訪ねてきた彼です。

彼の名はジョン・ヴィーク。

彼女が現地の医大に通っていた時から

医師になってからも苦楽を共にした同僚です。」

徳「じゃあA先生が抱えてる過去のトラウマって…」

ミ「同僚の恋人を助けられなかった事…」

喜「それだけじゃありません。

A先生が処置に当たった女性は

彼女の親友でした。

現地で仲良くなった、たった1人の友達だったそうです。」

「「 … 」」