氷国の女医2 (ページ17)

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音「PTSD、心的外傷後ストレス障害。

あなたはその治療でこの病院に通っていますよね？」

『…』

身から出た錆というか、

呆気なく知られてしまったことに、

平然を装うので精一杯。

うんともすんとも言わず、

続く彼の言葉を固唾を呑んで待つ。

「あなたが抱えるトラウマは

喜多見チーフとも関係しているのですか？

それとももっと前の」

『…どちらにせよ音羽先生には関係ないことです。

それ以上詮索するのはやめてください。』

一息でそこまで言い終えると彼を置いて中へ向かう。

階段を降りる中で音羽先生の声が聞こえ

まだついてくるかと思ったら

どうやらどこかに電話している様子で、

矛先が自分に向いていないことに安堵する。

MERの待機室に着くとそこにはテーブルを囲み会話するメンバーと

2階の柵を使い筋トレをする喜多見先生の姿に

ひどく安心感を覚える。

私の姿に気づいたミンさんが

「A先生、おはようございます！」

と挨拶をしてくれて続けて皆もおはようございます、と口々に挨拶を交わす。

その様子に、喜多見先生と皆が居るこのMERが大好きだなと実感する。

それと同時に何があってもこの空間を守りたいそう思った。

ﾌﾞｰﾌﾞｰ

メンバーで他愛もない会話をしていると

室内にアラームが響き渡る。

都庁危機管理室から通達!!

荒川区荒川9丁目の飲食店で立てこもり事件が発生！

店にいた数名が刃物で刺された模様。

被害状況については不明だが

小規模医療事案と認定、

東京MERに出動を要請する！」

喜「MER了解、出動します」

喜多見先生の言葉を聞いたメンバーは

一斉に動き出す。

荷物をまとめERカーに乗り込むと現場へと急行する。