氷国の女医2 (ページ11)

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フラッシュバックした過去に動揺する。

それでも処置を止めることは許されない。

『ミンさん電気メスください』

ミ「…はい」

ミンさんから電気メスを受け取ると出血箇所へと延ばす。

比「A先生、手が…」

比奈先生の指摘でメスを持つ手が震えていることに気づく。

すかさず反対の手で掴み震えを抑えようとするが止まることはない。

夏「A先生、深呼吸しましょ」

夏梅さんが汗を拭きつつそう促す。

深く息を吸って吐き出せば少し視界が鮮明になる。

オペ室を見渡せば皆が不安そうな顔でこちらを見ている。

『大丈夫です。』

頷いて落ち着いたことを伝えると再びメスを握る。

まだ完全には震えが収まっていない手に

反対の手を添えて何とか安定しつつ

止血するべく手を伸ばす。

息を飲み、患部に触れようとしたその時、

不意にメスを握る手を掴まれる。

何事かと目線を上に持っていけば

『幸太、さん』

喜「A先生、代わります。」

隣にいたのは喜多見先生だった。

テントで処置を終えた喜多見先生と音羽先生が合流したのだった。

喜多見先生は患者の目の前に立つと素早く止血を行う。

喜多見先生の正面に立つ音羽先生も他のメンバーに指示を出しつつ喜多見先生のフォローをする。

私は安堵のあまりその場にしゃがみこんでしまう。

冬「心拍安定しました！」

呼吸も整い手の震えも完全に収まった頃には

もう喜多見先生が患者さんを縫合していた。

無事オペを終え今回も目標達成したことを徳丸くんがメンバーに伝える。