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保健室に行ったら先生はいなかった。
俺が消毒したる、と救急箱をあさる信介を私は止めた。
『いやいいよ・・・自分でできるし、北くん、部活あるでしょ?』
北「・・・北くん?」
いつもと違う呼び方に信介は首を傾げた。・・・これは私なりの維持の張り方だった。
別れてもなお平然としている信介に腹が立ち、線を引くように呼び方を他人ぽく変えてしまった。
北「今日は自主練やったから早めに終わりだから平気や」
『・・・もうすぐ春高なのに?』
北「・・・大会前だからって張り切って怪我でもしたら元も子もないわ、だから大会前は少し練習を控えてるんよ」
手、出しやと言われ素直に出すと、優しく握られ、消毒液を多めにかけられる。
『う、染みる・・・・』
北「我慢せえや」
信介はこういうとこ結構えぐいよなあ、彼女に対してだって。・・・て。
____私、もう彼女じゃなかったわ。
信介のペースに乗せられて普通に会話してしまう・・・。
『・・・春高、頑張ってな・・・、家からテレビ見ながら応援しとくわ』
北「・・・直接みにこうへんの?」
きょとん、と不思議そうに言う信介。・・・は!?
『当たり前やろ、・・・・なんで別れたやつの試合見に行かなきゃいかんの』
つい強い口調になる。朝から昨日と態度が変わらない信介に対する怒りもこめて。
北「・・・・・」
信介は何かを考え込むようにして黙り込んだ。
信介の慣れた手当のおかげで、血は早くとまり、きれいにばんそうこうも貼ってもらえた。
・・・沈黙が気まずい。
『じゃ、じゃあ私帰るわ・・・』
逃げるように立ち去ろうとすると、手首をぐっ、とつかまれてそれは阻止された。
信介は何かを言おうと真剣な顔をして口を開きかけるが、思いとどまるようにそれをやめた。
『?』
北「もう暗いし、送ってくわ」
『は?・・・いや、いいよ!家そんな遠くないし!・・・知ってるかもですけど・・・・』
北「俺ももう部活終わりやからええやろ・・・それに、」
北「女なんだから夜道は危ないやろ」
と、薄く笑うと昇降口で待っててや、と体育館へ戻ってしまった。
心臓がばくばく高鳴る。
『・・・あれはずるいやんか・・・』
信介スマイルに付き合ってた時もなんどもやられていたのに。
このタイミングであのセリフとともに使うのはずるすぎる。
____信介が、わからん。
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長嶺 - ごめんなさい。間違いでした。 (2020年4月18日 2時) (レス) id: 689659be81 (このIDを非表示/違反報告)
長嶺 - 北さんとのお話!すごく良かったです。とても面白かったですが……北さんの下の名前は、「しんすけ」ではなく“のぶすけ”ではないでしょうか。 (2020年4月18日 2時) (レス) id: 689659be81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しーこ | 作成日時:2020年4月9日 22時