番外編２-�� ページ18
北side
＊
その日、俺は珍しく不安に襲われていた。
緊張とかそういう類の感情とは無縁であるはずの俺が。
その日の部活でユニフォームを配られる、と監督に告げられた。
俺は新チームでキャプテンを任されていたが、キャプテンだからと言ってユニフォームがもらえるほど、稲荷崎は甘くはないのは知っていた。
・・・だが、正規メンバーに入れなくてもいいから、ユニフォームはほしかった。
継続は力なり、ともいうが俺の積み重ねてきたものがきちんと結果に結びついている、ということを証明するために、ユニフォームがどうしてもほしかった。
＿＿＿＿誰かがちゃんと見とるよ。
ばあちゃんの言葉はずっと俺の胸にある。
現に、今の監督は無名でずっとレギュラー入りさえしてなかった俺を稲荷崎へ誘ってくれた。
チャイムが鳴り、野球部のやつらが一目散に部活へ向かう。・・・俺も行かなくては。
そう思いつつも、体がこわばり、動こうとしなかった。
・・・すると。
『・・・北くん？どうしたん？』
優しい声が俺の体のこわばりを解いた。
北「いや・・・」
『今日なんかずっと様子が変やで？具合でも悪いん？』
誰にも悟られないよう、平常心を保っていた顔をしていたはずなのだが。
北「・・・気づいとったん？」
『・・・いつもと様子が違うな思って・・・』
北「今日な、ユニフォームが配られるねん。・・・ずっともらえてなかったんやけど、どうしてもほしいな思うねん。・・・監督が俺を見つけてくれただけで十分幸せなのに・・・もっと、って思うてしまうねん・・・。俺は、欲張りなんやろか」
Aには、なんでも話してしまう。いうはずのなかった言葉がするすると口から出てきた。
Aはずっと黙って俺の話を聞いてくれた。
『・・・バレーのことはよくわからんけど、北くんはずっと頑張ってきたんやろ？・・・そしたらそれだけで十分すごいことやと思うで。それに・・・北くんのそういう努力はきっと誰かは見ているもんやで』
そういって、だから大丈夫！と白い歯を見せて笑った。
＿＿＿＿信ちゃん、誰かが見とるよ。
ばあちゃんの言葉とAの言葉が重なる。
ああ、だから、俺は。
俺がほしい言葉をくれるAだから好きなんだ。
俺が自身の恋心に気づいた瞬間だった。
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長嶺 - ごめんなさい。間違いでした。 (2020年4月18日 2時) (
レス) id: 689659be81 (このIDを非表示/違反報告)
長嶺 - 北さんとのお話！すごく良かったです。とても面白かったですが……北さんの下の名前は、「しんすけ｣ではなく“のぶすけ”ではないでしょうか。 (2020年4月18日 2時) (レス) id: 689659be81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しーこ | 作成日時：2020年4月9日 22時
