検索窓
今日:32 hit、昨日:35 hit、合計:70,813 hit

赤side ページ9

赤 side

ここの喫茶店に来るのは何年ぶりだろうか。
昔と変わらない。
さすがに働いている店員さんは全然違った。

だけど、相変わらず、サンドウィッチは美味しかった。

食べ盛りの2人には足りないかもやけど、どうしても望くんと流星くんを連れてきたかった。



2人に、喜んで欲しかった。




待っている間、たくさんのお話をしてくれた。


2人を見ていると本当に仲良いんだなって思った。
それに、可愛らしくみえてしまう。


…親心…?みたいな…?

2人は現役の高校生。
僕はごりごりの社会人。
歳なんて10も違う。


何故こんなにも自分に構ってくれるのか理由が分からない。

ただ1回撮影で会っただけで…?


仲良くなりたい、って言ってくれた。

智の事で頭がいっぱいいっぱいだった昨日も、

頼って下さい、って言ってくれた。


それだけで僕の心がどれだけ軽くなったか。


あまりにも優し過ぎる彼らに、僕は何一つお返しが出来ない。


お返しが出来ないくせに、傍に居て欲しいと強く願ってしまう自分がずるい奴に思える。


この感情に気付いたのはつい昨日の事だった。

彼らは本気で智と…僕の事を心配してくれていた。

人なんて信じられないと思っていたけど、2人は嘘をつかないと思った。根拠は無いけど。


こんなにも自分を思ってくれる人が居たなんて。

優しく抱きしめてくれたあの感覚を今でも覚えている。


智、淳太、健人とは違う優しさだった。



僕は、人に触られる事が大嫌いだった。

"あの事"があって余計に。

人間関係も、必要最低限で留めておきたかった。

僕には、智と淳太と健人が居てくれればそれで良かった。それが幸せだった。

他の人とは関わりたくもなかった。

社会不適合者だと思われても仕方がない。
事実なのだから。


だが、2人と出会ってから、湧き上がってくる例えようのない、気持ちを理解出来なくて、2人に会う度に、益々強くなっていってしまった。


それが、昨日やっと分かった気がする。


もっと2人と話したい。
2人の事が知りたい。




2人が気になって仕方がない。

認めてしまえば、とても楽だった。



だが、今日の喫茶店で、僕は改めて自覚せざるを得なかった。




僕は汚れている。



僕はだめな人間なのだ。




こんな僕が2人の傍に居てはいけない。

智達は"あの事"を知ってるけど、彼らは知らない。

知られたくない、絶対に。


このまま、2人と居たら、いけない気がする。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (90 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
294人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

はる(プロフ) - 毎日更新してくださってとてもうれしいです!続きが気になって更新通知がきているとうれしくなります!もうすぐ3人は幸せになれるのかな?それと、双子の緑さんとなぜあんなに距離が近いのか気になっています。これから明らかになるのでしょうか?楽しみです。 (2020年10月27日 20時) (レス) id: aede5183da (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はるさん» わわっ!!!読んで頂きありがとうございますっ!!ノロノロの投稿になると思いますが、精一杯頑張りますっ!!ありがとうございます!! (2020年10月12日 19時) (レス) id: 4db97cd269 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 毎回楽しく拝読しています!緑さんが生きててよかった!忌々しい事件とはいったいどんなものなのか続きが楽しみです! (2020年10月11日 21時) (レス) id: aede5183da (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年10月11日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。