あなたに愛を (ページ10)

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青side ページ10

青 side

彼を初めて見た時、何故か分からないが、胸がグッと締め付けられるような、そんな変な感覚に陥った。

これが何なのかは後から分かった。

初めは、一般人やのに急にCMの仕事なんかさせられて可哀想に、としか思えなかった。

だが、彼を見た瞬間、言葉を失った。

俺も小さい頃から良くモテる方ではあった。

だからこの業界に足を踏み入れたし、こうやって、仕事もたくさんさせて貰っている。

やから、仕事柄、イケメンな人を何人も見てきた。望みたいな。

せやけど、彼はそんな人達とはどこか違った。

上手く言葉に出来ないけど、違うのだ。

どの部類にも属さない。

想像していた感じとは全く違ったし、こんなにオドオドしていてほんまに代役が務まるんか、とすらも思っていた。

でも、興味はあって。

自分の撮影が終わった後、わざとその場に残った。

彼が気になったからだ。

彼はセットに移動したその後もずっと、ガクガクと震えていた。

もしかしたら、緊張で結局撮れないまま終わるんやないか、そんな事すら思っていた。

だが、そんな俺の考えは全くの誤算だった。

彼の演技を見た瞬間、惹き込まれてしまった。

いや、初めて見たあの瞬間から彼に惹かれていたのだと思う。

そこで初めて、俺はこの人に一目惚れしたんやと確信した。

彼にもう1度会いたい。

今日、学校へ向かう直前、スタッフさんから送られてきた動画に映っている俺と望と、彼のCMを見て、その気持ちはより一層強いものへと変わった。