あなたに愛を (ページ41)

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「高橋さん、やけに駅の近く人凄かったんですけど、何かあったんですか？」

「あぁ…どうやら事故があったみたいです。僕がここに向かってる時も救急車とかパトカーとか凄かったです。割と大きな事故だったみたいですね…」

「…そう…なんですか…」

「全然気づかんやったな。」

「…おん、無事やとええな」

「そうですね…。あ、小瀧くん、藤井くんの今日のスケジュールについてなのですが」

この時、何故か胸騒ぎがしたが、気のせいだと思い、高橋さんの今日のスケジュールについての説明に集中した。

スタジオに着き、楽屋に通されると、呼びに来るまでゆっくりしていてください、と言われたが、ゆっくりなんてしていられるわけもなく…

「…なぁ流星、今日凄い人何人も来てるんやろ？」

「…そう…みたいやな、テレビで見た事ある人ばっかやったで。」

「…どうしよ…俺えぐいくらい汗かいてきた。」

「…挨拶しに行こうか。」

「…せやな、行こう」

とにかく、ご一緒する俳優さんや女優さんに片っ端から挨拶しに行った。

CM見たよ、と言ってくださる方も沢山居て、「俺らも凄いところまできたなぁ」とどこか他人事のように思っていた。

初めてだから緊張すると思うけど、大丈夫だからね、と励まして下さったり、ファンですとまで言われてしまったり…

皆、優しい人ばかりで少しずつ緊張も解れてきた。

それから待つこと数分、打ち合わせが始まりますと高橋さんに言われ、俺らはドキドキしながら会議室に向かった。

まずは自己紹介から、という事で監督に「小瀧くん」と呼ばれ、俺は立ち上がった。

先程までは幾分かマシだったのに、やはりいざ全員を目の前にすると心臓が口から出そうな程緊張してしまう。

だが、こんなとこで立ち止まってちゃいけない。

折角演技の仕事が出来るんやから。

1つ息を吐くと

「初めまして。今回主演を務めさせて頂く、小瀧望です。初めての事ばかりでご迷惑をおかけすると思いますが、精一杯頑張ります。よろしくお願いいたします。」

ありきたりな内容だとは分かっているが、本当にその気持ちしかないのだ。

お辞儀をすると、周りの人達は温かい拍手を贈ってくれた。

ぶっちゃけ、安心しすぎてボケーっとしていたら、流星の挨拶がいつの間にか終わってしまっていた。