あなたに愛を (ページ38)

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赤side ページ38

赤 side

朝、目が覚めると、いつも隣に居るはずの智が居なかった。

「…っそうや、今日…帰るんやっ…！」

急いで時計を見ると、まだ4時だった。

まだ時間はあるはずなのに、智が居ない。

「…っとも…とも…！」

俺は急いでベッドから降り、リビングに向かった。

良かった、まだ明かりが付いている。

ガチャリと扉を開けると、キッチンに智が立っていた。

「…智」

「…ん、起きたんや、まだ早いから寝とってええで？」

「…ううん、大丈夫。朝起きたら、智が居らんかったから、びっくりした。」

「ふふっ、ごめんなぁ、俺今日朝早いから、朝ごはんだけでも作っといてやろう思うて。」

「…ふふ、ありがとう、智。」

すると、火を止め、智がこちらに向かって来た。

僕の目の前に来た智は何も言わず、僕をぎゅっと抱きしめた。

「…とも？」

「…っごめんな、ごめんな大毅。昨日、ほんまに酷いことした。」

「…うんん、大丈夫やで。全然気にする事ちゃうよ」

そう言うと、智に一段と力強く抱きしめられた。

「…ちゃう、ほんまにごめんな。俺ほんまにお前の事大切にしたいねん。やけど、昨日は抑えきらんくって…許してや。嫌いにならんでや。」

「…当たり前やん、智嫌いになるとかありえへんから。僕、智の事大好きやもん。僕も、ちゃんとしっかり言えば良かったなぁ。なぁ、智聞いて？」

「…ん？」

「僕な、来月、小瀧さんと藤井さんからご飯に誘われたんよ。」

「あの2人に？」

「うん。僕、今まで智や淳太や健人とかと一緒やないと無理やったけどな、あの2人は大丈夫やと思うねん。」

「…っほんま…？」

「うん、前に進みたいねん。」

「…そっか。偉いな。頑張れ、大毅。」

「うん、ありがとうな。」

そのまま一時の間智は僕を離さなかった。

智は少し、泣いていたのかもしれない。

ほんまは、昨日の智はちょっと怖かった。

やけど、うっすらやけど覚えてんねん。

僕の身体を拭いてくれとる時、何度も何度もごめんなって言ってた事や、僕の処理を手伝ってくれた後、僕の頭を優しく撫でてくれた事を。

智はほんまに優しい。

嫌う事なんて絶対有り得へんから、

その気持ちが伝われば良いな、と思いながら、智の背中に回した手に力を込めた。