あなたに愛を (ページ32)

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「…中間さんって…よう分からん人やな」
望がそう呟く。

「…そうか？でもあの時の俺らへの態度はあれが普通やと思うで？そりゃ、いきなり俺らみたいな高校生が、自分とこの部下に押しかけてきたら、何してんねん、ってなるやろ。…やから多分、俺らにあんま良い印象持ってないと思うで。」

「…まぁ…そっかぁ…今思えば、俺らいっつもその場のノリと勢いで突っ走ってんねんな」

「…せやな。ま、とりあえずもう帰ろうや。」

「うん。」

ホテルに1泊し、今日はまた大阪に帰る日。

割と忙しくて、疲れてしまったが、頑張れば今度重岡さんと会える。

そう思うと、疲れなんて吹っ飛んでしまった。

学校では、相変わらずあのCMの話で盛り上がっている。

もう放送されてから1週間は経っているはずなのに、まだその話で持ち切り。

この仕事の前からも、俺らのファンクラブやらがあったとは聞いていたけど、最近はさらに会員も増えて盛り上がっとるらしい。

応援してくれるんは嬉しいけど…

同じ学校の奴がテレビやら雑誌に出とったらそういう反応されるんが普通なんかな…？

それに、告白される回数も増えた。

名前だけは知ってるけど喋った事のない子や、学年の違う子など様々な人から。
さらには、違う学校の子からも。

やけど、俺の頭の中はただ1人で埋め尽くされとるんや。

どうやら、彼の事を考えてるのは俺だけではないようやけど。

それに、厄介なのが、CMを見て、重岡さんのファンが尋常じゃない程増えた事。

今だって、1日に数人からは、「あの男の人は誰？」と聞かれる。

皆必死に、"謎の男性"の事について探っている。

そんな簡単な事や無いんやで。