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かっこいい、という言葉ももちろん相応しいのだろうが、「綺麗」という表現が1番しっくりきた。



目の前の彼はフルフルと首を横に振る。




こんなにも、整った顔をした人がモデルやないなんて…

すると彼は小さく口を開け、


「…ちゃ…います。ただの…一般人です…」


そう言ってまた俯いてしまった。



「…そうなん…」

「…すいませんっ…」
そう言って彼はもう一度頭を下げてきた。

「…えっ!?何で!?」


「…いや、こんな一般人が代役になってもうて…」


彼はこちらを向いてそう、謝ってくる。


「…はっ…?そんな事…言っとるんちゃうよ?」



「こら望。ビビらすなや。あんたも、こいつが急にごめんな。」


それまで口を挟んでこなかった流星が、そう言って彼に近付き肩を叩くと、心配になるくらい目に見えて震え出した。

やはり、怖がらせてしまっているのか…





これじゃあまるでカツアゲみたいやんか…




「…いっ…いや…全然大丈夫です…」

彼は震える口でそう呟く。


相変わらず目は合わない。


するとそんな俺らの元にスタッフさんは駆け寄ってきて、


「小瀧さん、藤井さん、重岡さん、始めますのでよろしくお願いします」



そう言われ、3人共頷くと、ひとりひとり定位置に案内された。



「…あいつ、重岡って言うんや…」


流星がそう呟く。


覚束無い足取りでスタッフに着いて行く彼を見ながら俺達も移動を始めた。




今日の撮影は有名なヘアケア専門の会社とのコラボで、CM撮影らしい。

マネキンを女性と見立てて撮影するとの事だった。


コラボする会社の新商品の3種類のトリートメントを使ってサラサラで良い香りのする髪を見て俺らが虜になる、っていう



…在り来りな内容ではあるが、普段はモデル業をしている俺と流星に舞い込んできた有り難い仕事だ。

CMなんて初めてだし。


そんなこんなで、テンションが上がっていた訳だが、重岡?さんは撮られたりする事自体初めてらしいし…

どちらかというとそちらの方が心配で、気になってしょうがなかった。




「それでは〜撮影初めて行きます!!まずは藤井さんからお願いします!」



監督のひと言で撮影は始まった。


まずは流星から。






流星はマネキンに見立てた女性を後ろから抱き締め、首元に顔を埋め、女性の耳元に軽いキスを落とし、微笑んだ。

カット!!という言葉で流星の撮影は終了した。

くそっ、あいつドアップされてもあんなにイケメンなのかよ。

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作者名: | 作成日時:2020年9月26日 22時

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