あなたに愛を (ページ29)

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そんな時、

「おっ、何や盛り上がっとるやん」

神山さんが戻ってきた。

「神山さんっ！！俺らの分までほんまにありがとうございました」

「ありがとうございました」

俺と流星はそう言い頭を下げる。

「んーん！！気にせんで～！！ほなら、もう外真っ暗やし、はよ帰ろうか！2人は家遠いん？大丈夫
？」

「いや！！歩いてちょっとなんで大丈夫です！！」

「そっか、ほな、またな！！気を付けて帰るんやで～！！」

そう言って、神山さんはこちらにブンブンと手を振ってくれる。
重岡さんも控えめだが、小さく手を振ってくれた。

俺らは嬉しくなって凄く大袈裟に手を振り返してしまった。

神山さんは大爆笑。

その隣で重岡さんも笑ってくれている。

こんなに幸せな事があっていいのか。

「…重岡さん、やっと笑ってくれたな。」

「ほんまやな。」

「…流星、俺はまだ認めてへんで。」

「…何を」

「来月の重岡さんとのお食事っ！！！お前は！！呼んどらん！！！！！！」

「まぁそんなカリカリすなや。禿げるで？」

「っせぇ！！黙らっしゃい！！！」

既視感のある会話をした後、俺は気になっていた事を聞いた。

「なぁ、神山さんと会った事あったん？」

「…先週の日曜。オフやったから買い物行ってん。その時、偶然2人を見かけて。神山さん、見ての通り髪色も派手でピアスバチバチやったからちょっと怖そうな人やと思っとったけど、全然ちゃうかった。優しいな、あの人。」

「…せやな。」

俺達は敢えて、先程見た重岡さんと神山さんのあの事を口に出さなかった。

双子にしては、距離が近過ぎやないか…？
いくら仲良いって言っても…

あれが普通なんか…？

明日は朝から仕事なので、もうお開きにしよう、と俺らは別れ、それぞれの家へ帰る事にした。

＊＊＊＊＊＊＊

次の日、俺らは朝イチで新幹線に乗って東京へ向かった。

流星はまた眠っている。

俺もつられるようにいつの間にか眠ってしまっていた。

次に俺が目が覚めたのは、ちょうど1駅前に着いた時だった。

「…っぶね、流星…流星！！次やで。」

流星をトントンと叩き、何度も呼びかけると、やっと起きた。

目的地に着き、降りて、スタッフさんが待っているという改札口に向かった。

そこで俺はある事に気付く。