あなたに愛を (ページ18)

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桃side ページ18

桃 side

今日は俺1人の撮影だった。

まぁ、流星とペアで仕事している訳ではないから、いつも一緒というのもおかしいのだけれど。

やはり、流星が居る時と居ない時とでは…

…別に寂しいって訳ではないから！！断じて！！

「久しぶりだね、小瀧くん」

あぁ、そう言えばそうやった。

今日はこいつも一緒やった。

「…久しぶり、中島くん。」

俺はこいつに聞きたい事が山ほどある。

だが…

彼が何を考えているのか分からず、どこからどう話し始めるべきか悩んでいると、

「この前は、迷惑かけてしまってごめんね。急に撮影行けなくなっちゃって。」

「いや、大丈夫。気にせんといて。」

「…理由、聞かないんだね」

「…だって、何か大切な事があったから来れなかったんやろ？中島くん、無責任に仕事放り投げる人やないって分かっとるし。」

「…ははっ、ありがとう。そう言ってもらえて嬉しい。シゲはどうだった？」

「…シゲ？もしかして、重岡さんの事？」

「うん。ちゃんと出来たのかなぁと思って。でも代役頼んだの俺なんだけどね。」

「…正直、びっくりした。こんな人が一般人やなんて信じられへんかった。」

俺の言葉に中島くんはどこか遠くを見る目をし、そっかあと小さく呟いた。

やはり彼が何を考えているのか分からない。

「なぁ中島くん。重岡さんって、ほんまは何もんなん？」

「何もん、って…ははっ。ただの一般人だよ。」

「…俺は、そうは思えんかった。理由は…無いけど。」

「…シゲが何か隠してるかもって？」

「…うん。あんなに綺麗な人が、そして、あんなに演技力も凄くて、自分の魅せ方も分かっとる人が、一般人やなんて…」

「…君は良く見てるんだね。」

「…？」

「シゲは昔色々あったんだよ。だから今じゃあんなに人見知りというか、人嫌いになっちゃったけど…嫌いにならないで欲しい。…彼を傷つけないでね。」

真剣な表情を浮かべ、中島はそう言った。

「…分かっとる。」

上手くはぐらかされてしまった様で、結局重岡さんの事詳しく分からなかったけど、素直に返事を返せば、今までの少し険しかった彼の顔も、またいつもと同じように優しいものに戻った。

「中島くん、小瀧くん、準備お願いします」

「はーい！！」
「はい。」

中島くんにつられるように俺も返事をし、セットの方へ向かった。

今は撮影に集中や。

自分の頬をペチペチと軽く叩き、撮影に挑んだ。