あなたに愛を (ページ15)

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ドンッ

誰かとぶつかってしまい、しかも相手は尻もちをついてしまったようだ。

謝ろうと急いでそちらに目をやると、

「…し…重岡さん…？？」

相手は俺達がずっと会いたかった、重岡さんだった。

初めて会ったあの日と同じく、長い前髪と、黒縁眼鏡で相変わらず表情が伺えない。

「…っ！！」

「重岡さんっ！！あっ！！あの、すみません！！怪我ないっすか！？」

「…だ…大丈夫です。こちらこそ、前見てなくてすみません…」

「前も！！でしたよね、前もスタジオの自販機の所でぶつかりましたよね」

「…へっ…え…と…はい。あの…すみません…」

「あぁいや、謝って欲しいわけやなくて！！」

「望！！そんないっぺんに喋ったら重岡さん困ってまうやろ。」

「あっ…すみません…」

「いえ…気にせんといて下さい…。では…」

「待って下さい重岡さん！！俺ら、あなたに会いに来たんです」

「…へ？」

「今丁度、中間法律事務所に行こうと思ってて。」

「…え…と…何で…ですか？」

「…何で…と言われると…その…理由が…」

「会いたかったからです。」

どもってしまった俺に代わり、流星がそう告げる。

「……え？」

「例え、代役やったとしても、仕事でご一緒した事実は変わりませんから。仲良うなりたかったんです。」

「…で…でも、俺…ただの一般人ですし…もう、ご一緒する事はないですから…」

「…何でそんな事言うんですか…！！」

「…望。そない強く言うなや。」

「大毅？どないしたん？」

1人の男性が俺らの前に現れた。

「…社長。」

「…社長？ほなら、あなたが、中間法律事務所の…」

流星がそう尋ねる。

「はい。俺が社長の中間です。ウチの重岡に何か？」

彼はそう言いながら、俺らと重岡さんの間に立つ。

俺らを見る目はどことなくキツくて。

「…いや、あの、俺ら前に重岡さんと仕事をご一緒させてもろうて、」

「…小瀧望さんと、藤井流星さんやろ？」

「…え？知ってはるんですか？」

「知ってますよ。有名なモデルさん方ですもん。」

「ありがとうございます。俺ら重岡さんに会いに来たんです。」

「…何でですか？」

「もう1度会ってお話がしたかったからです。」

俺は中間さんの目を見ながらそうはっきりと伝える。