あなたに愛を (ページ2)

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確かに今日は3人での撮影だと聞いていた。
俺と流星と、俺らと同じくらい人気モデルの中島と。

どうりで隣の楽屋から物音ひとつしてこなかった訳だ。

「流星、俺自販機行ってくるわ」

「あぁ、いや俺も行くわ。」

2人で自販機に向かっている時だった。

角を曲がろうとした瞬間ドンッと誰かとぶつかってしまった。

相手はぶつかった衝撃でよろけてしまい足がもつれたのか、転けてしまった。

「あっ…すんません…！大丈夫ですか？？」

そう謝り目の前の男性に手を差し伸べる。

スーツを着ており、恐らくサラリーマン。

長過ぎる前髪なのに、黒縁の眼鏡をしているせいで余計顔全体が見えない

すると彼は俺の手に気付いていないのか、急いで立ち上がり、「すみません」とだけ呟いて足早に走って行った。

「…何やろ、ここで働いとる人なんかな」

「…さぁ。」

飲み物を買い楽屋へ戻る。

それからさらに15分程待っていると

コンコンと扉をノックされ、はい、と返事をすると物凄い勢いで扉が開かれた。

「小瀧さん！！藤井さん！！大変お待たせしました！！準備が出来たので、お願いしますっ！！」

「はい。ほな、行こか流…あれ」

流星はぐっすりと眠っていた。
相変わらずすぐ寝る奴や…

「おい流星！！行くで！！」

やっと起きたらしい彼は、眠たそうに両目を擦りながら、大きな欠伸をし、ソファから起き上がってきた。

スタッフさんに着いてスタジオに向かっている途中

「代役の方は誰なんですか」と尋ねると

目の前のスタッフさんは「あっ！！」と大きな声を出し立ち止まった為、俺もつられて立ち止まった。

遅れて流星も。

すると、スタッフさんはくるりとこちらを向き、口を開く。

「…それが…全くモデル業などをされた事がない一般の方でして…」

「…は？」

「…一般の人？」

流星もポカーンとしている。
そりゃそうだ。俺も意味分からへん。

「…何で一般の人が…？」

「…衣装が元々中島さん用のしかないって事もあり、中島さんに似た体格の方を探していたんですが…何よりも…その方、中島さんの推薦でもあったんです。」

『…え？』

「俺と同じくらいの背丈だから大丈夫、俺の代役はこいつでお願いします、って連絡があって…」

「…まじ…すか…」

「…まぁ、本人は何も聞かされてないままここに来たらしくてとてもパニック状態だったんですけど…。」

「…え？大丈夫なんですか？」

「…はい。」