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「あれからずっと、あんたの事が気になっとった。俺は、5年分の記憶が無いから、早くそっちを思い出さないかんのに、頭の中はいつもあんたの事ばっかり。あんたがあの日急に居なくなるから。」
「…っそれは」
「俺、ほんまは飛び降りる気ないねん。まだやらないかん事あるから。」
「…やらないかん事…？」
「うん。記憶を戻す事や。絶対に思い出さないかんの。両親や俺の友達や、職場の人達、そして、俺の為に。」
「…せやな。…でも、そんな焦って戻そうとせんでもええんやないか…？」
「…駄目やねん。はよ思い出さないかんの。」
彼は口を噤んだまま下を向いてしまった。
「…俺な、つきおうてた人居るんや。ここ5年の間に。」
「…そ…なんや」
「うん、でも、記憶無くしてから1回も会っとらんねん。どこにおるかも分からへん。」
「…どんな人やったん？」
「…分からん。思い出されへんの。」
「…」
「…思い出そうとしても、モヤがかかったみたいに、あいつの…付き合ってた奴の顔が思い出されへんねん。」
「…いつから…つきおうてたん？」
「ん〜…分からへん。記憶が無いって事はこの5年の間でつきおうてたって事やと思う。」
「…」
彼は何故か悲しそうな表情を浮かべる。
「…1度も会いに来てくれた事ないし、もしかしたら…別れてしもうたんかなぁとか思ったりするんやけどな」
「…まぁ、頑張り過ぎもいかんからな、」
「…うん。せやな。」
「…ほな、俺、もう…行く」
「待って。」
「…」
「あんたは…これからどこに行くん」
「…どこにも。ここに居るんもそろそろ終わりかなぁ」
彼は自分の両手を見ながらそう呟く
「…消えてしまうんか…？」
「…まぁ、そうやな。もうここに居る理由が無くなってもうたからな。」
「…それって…心残りが無くなったって事？」
「…ん。まぁそんなとこや。」
「…行かんといてって言っても、無理なんか？」
「…は？」
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悠(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます！！是非書かせて頂きますっ！！最後までお付き合い頂けると嬉しいです！ (2020年9月24日 22時) (
レス) id: 4db97cd269 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 毎回楽しく読ませていただきました。機会があったら、付き合う前から事故にあう前までの二人をみてみたいです！ (2020年9月24日 22時) (レス) id: aede5183da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠 | 作成日時：2020年9月19日 13時
