出会い ページ1
俺にはここ5年程の記憶が全くない。
は?と思われる方もいると思うが、言葉通り記憶がないのだ。所謂「記憶喪失」というやつ。
それよりも前の事はちゃんと覚えている。高校時代とか。だが、ある一定の期間、先程も言ったが5年分の記憶だけ、頭からスッポリと抜け落ちている。
目が覚めて最初の景色は、見覚えのない真っ白な天井だった。
身体が物凄く怠くて、とにかくあちこちが痛かった事を覚えている。自分の腕に繋がれているチューブを見て、何となく、いや、ここが病院なのだと理解できた。
すると丁度病室に入ってきた両親と医者は俺に気づくや否や、「奇跡だ」「よく頑張ったな!!」と俺を囲んで心底嬉しそうに涙をボロボロ流しながら俺にそう言った。
まだ何か言っていたが、何だかとても眠たくて、瞼が重たく、次第にスっと意識が遠のいた。
次に目が覚めたのはそれから2日後の事だった。
だいぶ調子も良くなってきた。
まだ全身痛いが、初日程の気だるさはない。
良かった、俺はちゃんと生きてた。
何故こうなったのか全く覚えていない俺は、両親に理由を尋ねた。
両親から聞かされたのは、俺が数日前交通事故にあったという事。重傷だった為、医者からは覚悟を決めておくようにとまで伝えられていたらしい。だから、あの日奇跡だなんだとやけに喜ばれたわけだ。
「俺、全然覚えてへんわ」と素直にそう伝えると、両親の表情が一瞬曇った。何かを堪えるような。
だが、すぐにいつもの優しい表情に戻り、他愛もない話をして、午後の診察の時間が来て、2人は帰って行った。
俺はどうやら、信号無視をして突っ込んできたトラックに轢かれてしまったらしい。
良く生きてたもんだな、と、どこか他人事の様に軽く考えていた。
やっと自分でも少しずつ動ける様になった為、リハビリに移れる事になった。
まだ何か支えが無いと1人で立っていられない。
リハビリは辛いものだったが、両親や親切で優しい看護師さんのおかげでようやく少しずつ慣れてきた。
その頃からか、俺は気晴らしに病院の屋上に行く事が多くなった。
人も来ないし、風通しも良くてとても気持ちが良い。
俺はここのベンチに座って本を読む事が日課になっていた。
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悠(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます!!是非書かせて頂きますっ!!最後までお付き合い頂けると嬉しいです! (2020年9月24日 22時) (レス) id: 4db97cd269 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 毎回楽しく読ませていただきました。機会があったら、付き合う前から事故にあう前までの二人をみてみたいです! (2020年9月24日 22時) (レス) id: aede5183da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠 | 作成日時:2020年9月19日 13時