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「堅 たばこ買ってきて」
懲りもせず俺はまたAの夢を見ている。
見たくて見ているわけじゃねえけど
出てこられて嫌な気持ちにはならない。
「Aって何歳?」
「ハタチだよ」
「ふーん、 金」
「さんきゅー お釣りはお駄賃にしなね
あ たばこの銘柄は ーーー……」
「…… ぜってーハタチじゃなかったワ」
ガキの俺からすりゃ年の離れた女はみんな
20くらいには見えんだろうなぁ。まあ店も店だし。
鮮明に描かれる顔と声に想いを馳せぼんやりと思考を巡らす。
未成年が未成年にタバコ買わすって何やってんだ。
そういや あいつ、何吸ってたっけ。
「堅はあほだから銘柄なんて覚えらんないかなぁ
さっき捨てた空き箱まだあるっけ…」
なんて喋りながら丸まったティッシュまみれのゴミ箱に
手を突っ込むあいつにもやっとした感情を覚え
「そんくらい覚えられっから探さなくてもいいっつーの!」と
イラつきをぶつけると
「たはは ごめんごめん
ーーー 、ってやつ買ってきて」
バツが悪そうな、そんな顔をしながら頭を撫でられた。
もやもやした気分のまま買ったタバコの銘柄なんぞ
今更覚えてるわけもなく、その一件以来
あいつにタバコのおつかいを頼まれた記憶もない。
覚えてるのは、そう。
「なんか甘ったるい香りだった、んだよな…」
それと銘柄もしらねえタバコを持つ指と、
唇から吐かれる紫煙。
いつだって思い出されるのはあいつ自身。それだけ。
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れ(プロフ) - aicoさん» aico様 コメントありがとうございます!とても励みになります!更新頑張ります☻ (12月29日 12時) (レス) id: 25515adda2 (このIDを非表示/違反報告)
aico(プロフ) - なんだこの作品サイコーすぎる見つけれて良かった😭更新頑張ってください! (12月28日 12時) (レス) @page28 id: a3a2c4d69d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れ | 作成日時:2023年8月5日 12時