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 足取りが酷く重かった。木々が風に揺れてカサカサと音を立てていた。約束の場所に着いても、不死川の姿はどこにもなかった。
 仕方なく任務地へ向かえば、そこら中から血の匂いがしていた。塵が闇夜に溶けていく隣で、不死川が座り込んでいた。




「……無茶な真似しないで」




 腕、足にまで傷が出来、鮮血が流れていた。月に反射したそれは艶があり美しかった。呼吸が荒い不死川は座り込んだまま俯いていた。懐から包帯や手拭いやらを出して、私は怪我の手当てを始めた。




「俺に構うなァ、鬱陶しい」


 

 不死川は私をねめつけながら手を振り払おうとしたが、その動きは弱々しく観念したように抵抗をやめた。




「どうしてこんな真似するの?」




 私が訊いても、不死川は口を開かない。お前には関係ない、とその一点張りだった。何を言っても無駄だと感じた私は、それから簡単な手当てが終わるまで彼に話しかけなかった。
 手当てが終わり、帰ろうと不死川に肩を貸して立たせれば、彼は小さく舌打ちをした。




「…匡近に心配かけさせないで」
「あァ?……あいつが勝手にしてるだけだろォ」




 私の言葉に不快さを隠すことなく不死川は言った。毎回毎回待ち伏せのようなことをして鬱陶しいなど、不死川は匡近に対する不満が止まらなかった。私はそれを軽く聞き流した。私には匡近のように不死川のために笑ってやることが出来なかった。
 藤の花の家紋の家を見つけお世話になることにした。出血が酷かった不死川は大人しく処置を受けていた。各自、部屋に入った。私はふかふかの布団に沈み込んで目を閉じた。
 伝令では七体程の鬼が潜伏しているとの情報だった。不死川は鬼殺隊となってまだ日が浅いはずなのに、負傷しつつも全て討伐していた。その戦闘能力の高さに私は度肝を抜かれた。しかしいかんせん、あの態度と命を顧みない戦い方は理解し難い。匡近がいくら言おうと私には無理だ。
 そう考えている内に私は眠りに落ちていた。朝起きれば、不死川実弥はもういなかった。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - 環さん» 環さん、コメントそして労い言葉有難う御座います!本作は私自身悩みに悩み一度は本気で削除しようと思ったお話なので、お褒めの言葉がとても沁みます(;_;)風車は重要な言葉の一つでしたので環さんの考えを聞けて私は嬉しいです!最後まで本当に有難う御座いました! (2021年6月12日 10時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 蓮さん完結おつかれさまです、ありがとうございます。すごくすごく美しいお話でした。コメントさせてもらうのも恐縮でしたが、この感動をお伝えしたいなと思いまして。最後に風車が回ったのも夢主が前に進めた、時がやっと進んだのかなと思いました。素敵なお話でした! (2021年6月11日 18時) (レス) id: 940f9d3174 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 猫巻さん» 猫巻さん初めましてコメントそしてお祝いのお言葉も有難う御座います!苦しい鬼殺の世界でも希望を忘れずに自分らしく生きようとする夢主で御座いました!理解し難いお話でしたがそう言って頂けたこと最後まで猫巻さんに読んで頂きこちらこそ本当に有難う御座いました! (2021年6月11日 16時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - りりさん» りりちゃんコメントありがとう!雰囲気や軸がブレないようにいつもより慎重に言葉選びしたから本当に書いた甲斐がありました…そしてりりちゃんの考え方が本当にその通りすぎて素敵です。りりちゃんの考えを知れてよかったです!最後まで読んでくれて本当にありがとう! (2021年6月11日 16時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 唯梨さん» みいちゃん、コメントありがとう!好き嫌いが両極端な話だけど読んでくれてありがとう!それぞれの意味はみいちゃんの好きなように受け取ってね、否定的でも何でも私は構いません!みいちゃんの考え方を尊重します!こちらこそ最後まで読んでくれて本当にありがとう! (2021年6月11日 15時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年5月8日 20時

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