きみとぼくの距離 ページ9
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JN side
『お疲れ様でした』
そう声が掛かると、疲れた だとか眠い だとか あちらこちらでそんな声が聞こえ始める。それは俺だって例外じゃなくて、長話に固まっていた身体を伸ばせば、風船に穴が開いたようにスルスルと力が抜けた。
手元に残ったホチキス留めされた書類は、今後の俺たちの活動やNCT全体の計画が書かれていて。凄く有難いことだけど、寝る間も惜しいくらいの日々がまだまだ続くことを悟った。
NCT全体ミーティングがあった今日、いつも見慣れたメンバーだけじゃなくて、イリチルのヒョンたちや威神のヒョンたちなど普段は見ない顔ぶれがこの部屋で揃っていた。
同じグループで滅多に会わないなんてことは、普通だったらないはずなのに。本当にイレギュラーなんだ。俺たちは。
誰かは久しぶりの再会に花を咲かせたり、また誰かは次のスケジュールのために早くも退室したり。
幸い、ツアー中で一時帰国をしてる俺の今日のスケジュールはこれだけ。
お昼時で空いたお腹を片手で摩りながら、何を食べようか考えを巡らせる。んー、チソンイも誘って宿舎でペダルでもいいな。あ、もしかしてロンジュナもいるかな。
そんなことを考えていると、練習着でも溢れるオーラを纏いながら 同じように資料持ってこちらへと歩いてくる人がいた。
『あ、ヌナ』
「わぁ、ジェノ お疲れさま」
すっぴんだからかいつもより幼か見えるその顔で、久しぶり だなんて俺の頭をわしゃわしゃと撫でて微笑む。この人は本当に俺のことを犬だと思ってるような気がする。それだけど嫌な感じはしない。むしろ嬉しく思ったりもする。
初め会った頃なんて、俺の方が歳上だと思ってたくせに。
「ジェノはこの後予定は？」
『今日はもうないよ そっちは？』
「んー、無いけど ちょっと作業して帰ろうかなって思ってたとこ」
満足したのか、細い指が俺の髪からゆっくりと離れていって温もりだけが残る。
彼女の作る曲はどれも上層部のお気に召すらしい。俺たちだけじゃなくて、他社のグループにも楽曲提供してるってなぜかヘチャンが自慢げに言っていた。そのレコーディングでヌナが告白されたってのも全部アイツが言っていた。俺が第一発見者だとかなんとか。
『それって今日必ずやらなきゃダメ？』
「いや？まだ大丈夫だけど」
『じゃあ決まり、一緒にお昼食べよう』
半ば強引にそう言えば、ヌナがふんわりと笑うから 俺の心には春風が掠めていった。
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作者名：めろんぱん | 作成日時：2023年3月13日 17時
