番外編2 鬼との出会い ページ36
Aside
「…暇だ」
言葉通り暇である。
姉さんには「他の剣舞魔神とも仲良くしてあげてね〜」なんて言われたが、なんせ相手にするのは何奴も此奴も大男ばかりである。
そんなもん馴れ合える訳ない…
いや、俺がそれをしようとしてないだけかもしれないが。
「…今日は森の方に行ってみようか」
いつもは姉さん同伴でなければ行けない森。
同伴だとしてもあまり奥までは行けない。
あそこは結構自然豊かで、動植物好きの俺からすれば楽園である。
「…よし!行くか!」
まさかこれが思いがけない出会いを生むとは、当時の俺には知る由もなかったのである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…やっぱ空気が美味い!」
んーっと伸びをし、思いっきり息を吸い込む。
姉さんがいると行けない所も沢山ある。
楽しさに胸を弾ませた。
所々生える草木を見ながら進んでいく。
…ふと、違和感を感じ下を見た。
ほのかに香る、鉄の香り。
…血だ。
辺りの草木に、血痕が…
しかも…
「…新しい…」
背筋に冷たいものが走る。
所謂恐怖というものだろうか。
…よく見ると、その血は奥へと続いていた。
「っ…」
恐怖を感じながらも、子供ながらの好奇心がくすぐる。
少しだけ、少しだけ…
ゆっくり進んでいくと、驚きの光景が広がっていた。
「ッ!?」
…鬼だ。
巨木に持たれ、苦しそうに呼吸している。
血の跡は、この鬼に繋がっていた。
鬼の体には無数の切り傷、火傷の後などが刻まれていた。
肉体が黒いせいなのか、血の赤がより鮮やかに見える。
…助けなければ。
無意識にそう思った。
子供が出来ることなんて、たかが知れている。
それでも、この妖怪に生きて欲しくて。
「…大丈夫か?今、止血するから…」
酒「ッ…必要、無い!人間のガキに、何が出来る!」
「…何も出来ねぇよ。でも、俺はアンタに生きて欲しいんだ」
酒「ッ!?お前、本気で言ってる、のか?」
その鬼は驚いたような顔をして、俺を見た。
会話している間に、目立っている血は拭き取れた。
「ああ」
短く返事をすると、その鬼はまだこちらを見ている。
酒「…お前、俺の噂を、聞いたことないのか?」
「いや?知らねーな。そもそもアンタ何でこんな傷だらけなんだ?」
その鬼を見つめると、鬼はバツが悪そうに目を逸らした。
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クランドール・ブラッディ - ヤンデレ来て欲しいです!お忙しい中ありがとうございます! (2021年5月4日 22時) (レス) id: fad690bd23 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶黒狐@(プロフ) - ありがとうございます!ヤンデレは正義と思ってるのでもっと頑張ろうと思います! (2019年4月22日 13時) (レス) id: 82343ea2fc (このIDを非表示/違反報告)
まらそ - ヤンデレは読んでて怖楽しい!(?)これからもお忙しいかもしれませんが、頑張ってください。 (2019年4月22日 13時) (レス) id: 16a78ad417 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶黒狐@(プロフ) - ありがとうございます!はわわ…すっごい嬉しいです…!! (2019年3月30日 8時) (レス) id: 82343ea2fc (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆 - 最高にいい作品だと思います!続き楽しみにしてます (2019年3月30日 3時) (レス) id: 38976ecf1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶黒狐@ | 作成日時:2019年1月14日 23時