ももかん (ページ5)

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接近ページ5

「ここで良いかなっ」
「別にどこでも良いけど…それで、どこを教えれば良いの？」

バンッ
「痛っ！」
いきなり壁際に追いやられ、両腕を押さえつけられた。

「私ね、ずっと教えて欲しかったんだぁ。『野山さんのコト』♡」
「っ…！！」

顔がどんどん近付いてくる。抵抗すればするほど、私の手首を掴む手に力が加わる。

「嫌っ！痛い…離してっ」
「野山さんが抵抗するからだよ？ほら、じっとしてればすぐに終わるから…」

ももかの事が気がかりだ。早く何とかしないと…

「人を待たせてるから、いい加減に…」
「小田ももかと、付き合ってるんでしょ？」
「…？！どうして…！」

どうやら、この前の英れんとの一件を目撃したらしい。
「ドアを閉めてたって声は聞こえるし、中の様子は窓から見えるんだよ？詰めが甘かったね」
「言いふらす気？」
「…別に。私が皆に言ったところで、あなた達が別れるとは思えないもの」

「じゃあ何で…！」

こんな事するの、と言いかけた所で

「好きだからに決まってるでしょ。私が、野山さんを。」

と言われ、少し動揺する。

「ふふっ、可愛い…ほら、目を閉じて？」
腕を押さえつける力はどんどん増し、息が唇にかかる。まずい、このままじゃ…！！

ガラッ

「やめろ！！！」

「…チッ」
「おい！！俺の大事な人、の、大事な人…あー、友達に手出してんじゃねぇよ！！」

何だか微妙に決まらない決め台詞と共に現れたのは、英だった。
そして、その後ろには泣きそうな顔をしたももか。

「かんな！！無事？！ごめんね、私がもっと早く気付いてあげられたら…」
「ううん、英と一緒に探してくれてたんだよね？ありがとう」

「『俺の大事な人』…？あぁ、そういえばれんって小田さんのこと好きだったね。じゃあ、2人が別れるのはあんたにとっても都合がいいんじゃないの？邪魔しないでくれる？」
「俺はな、野山といる時の小田が好きなんだよ。さやかと違って好きな人を恋人から引き離したりしない」
「何？良い人ぶって気持ち悪いんですけど。」
「は？！」

やけに親しげな2人。後で話を聞いたのだが、どうやら2人は幼馴染みのようだ。
英は潔く諦めて友達になってくれたけど、こいつは…

「野山さん。私、こいつみたいにすぐ諦めたりしないから。覚悟しててね♡」
「何があっても、ももかと別れる気は無いっての。あんたなんかに靡かないから」
「そういうとこも好きよ♡」
「めんどくさ…」

こうして、また面倒な人が増えた。