グリムラルカ インゴーストシップ

○ ページ27

「26文字の……言葉？」

「え？」

「紙とペン持ってませんか⁉」



私の突然の一言に困惑しながらも、これか？と近くにあった羽根ペンを手渡してくれた



紙は……これでいい


すぐ目に留まった問題文の書かれた羊皮紙を引っ掴むとそれを真っ二つに破った



「お前何しとんねん!」

「良いんです」

「良くないやろ！なくなったら、もう解けないやんか!」

「問題は解けます」



キッパリと言い張ると5等分された羊皮紙を前に掲げた。その紙をカードが消えた5箇所の空間に置き、隙間を全て埋める



「志麻さんの言う通り、トランプにはそれぞれ文字が1つずつ当てはまる。トランプは、ここにない5枚も合わせて合計26枚になります

だから、26文字で構成される言語がこれらに入るんです」


「26文字の言語＿＿＿＿"アルファベット"か」



彼の瞳を見つめて、頷くと借りたペンを片手にとった。スペードの1から順番にクラブのKまで、アルファベットを1語ずつ書き込んでいった







「あの5枚のカードが表していた文字は、
Ｔ、Ｇ、Ｏ、Ｓ、Ｈ。並び替えてできる言葉が答え。つまり、答えは『GHOST(魔物)』



回答したと同時にバァン!!!とドアの開閉音が響いた。勢い余って割れた硝子の破片が散る

海風が室内に滑り込み、アルファベットの書かれたトランプがフワリと舞い上がった



テラスと広間を隔てる物は、もう何もない



(終わった、、、ゲームが、終わった)



甲板に出ると夜空に浮かぶ淡い月が見えた。月光に包まれて、ふにゃりと体の緊張が解れる。


良かった。これで、家に帰れるんだ



そう思った時だった




＿＿＿カシャン



無気質な音がして、何かが右手首にハメられた
ヒンヤリとした鉄の感触が肌に当たっている所からじんわりと伝わってくる


唖然として、右手首に填められたソレを見て、頭が真っ白になった



え、何コレ………手錠？


船に閉じ込められたあの時以上の悪寒が、体中を駆け抜けていく。もうゲームは終わったのに…



「はい、そこまで」



聞き慣れた声がした。右手首を伝って、ゆっくりと手錠の主を見て、息が詰まりそうになった



「惜しかったねェ、あとちょっとだったのに」



あぁ、こんな事ってありえない



「なん…で」



私に手錠をかけたのは＿＿＿＿







志麻さんだった

9.取捨選択の人形→←○

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