▷ ページ16
「さっき自分で言ったよね〜。Aはみんなのもんやって」
ブーメランを返すかのように煽られて、センラさんはやや不快そうに眉をしかめた。
「志麻くんさぁ……まだ婿も決まってないし、あんま派手なことせん方がええよ」
「何急に。怒ってんの?」
「ちゃいますけど。アンタのその態度が、アンタの首締めるよって忠告しとるんです」
「へぇ〜?俺に忠告ねぇ……偉くなったなぁ、センラくん」
「……」
ピキッ、と血管の浮き出る音が聞こえたような気がした。
「その減らず口……たたっ切ってもええかなぁ」
「はははっ。いいぜ、いつでも来いよ」
センラさんが私からすっと離れ、志麻さんが人差し指で煽るので冷や汗が吹き出た。
嘘、本当に喧嘩するつもり……?
2人の気迫に圧倒されて声が出ない。
だってもはや喧嘩とかそんな子どもじみたものじゃないもの……どちらも親の仇を見るみたいに、睨みつけて、この間に入りでもしたら、刺されて死んでしまいそうだ。
(でも止めないと大変なことになる……!!)
あの……と声を絞りかけると、「おい志麻セン、いい加減にしろ」と先手を切られた。
「お前ら全員、姫との『ご挨拶』に時間かかりすぎ。いつまで立ってくっちゃべってんの?」
「うらさん……」
うらたさんは集まった視線を厭わしそうに払った。
「積もる話はメシ食いながらでも出来るし取り敢えず座れよ。Aも、立たせたままだしな」
はっとしたように、センラさんが私の方を振り返った。
その目が少し気まずくて、微笑んだつもりの笑顔は固くなっていたことだろう。
「すみません……」
扉に1番近い席についたセンラさんに続いて、志麻さんも直ぐ傍にある席に向かった。
(一見落着……)
険悪なムードのままだが、ひとまずおおごとにならなくてよかった。
少しほっとしていたら、こちらを見ていたうらたさんと目が合った。
「Aも。こっち来て」
「あ……はい」
隣の席に座るよう促され腰をかけると、今の、ビビった?と尋ねられた。
「……え?」
うらたさんは揶揄うように笑っている。
「お前も罪なオンナだよねぇ。みんなに取り合われるなんてさ」
「え……?」
「え、もしかして自分のせいで二人が喧嘩したって分かってねぇの?」
ますます訳が分からなくて、眉をひそめて見せたら、まじかよ……と呆れた顔をされた。
415人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆん(プロフ) - sakatakanaさん» すみません、非公開にしてました……😖💦 今一部公開しましたので、よろしければどうぞ🥺💕 (2月2日 19時) (レス) id: 247385b72e (このIDを非表示/違反報告)
sakatakana(プロフ) - パスワードはどこかに書いてありますか?教えていただけるとありがたいです! (10月30日 19時) (レス) id: d5f34ff961 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん@クイポイのリンクが欲しい人は一報ください(プロフ) - ういさん» ういさんこんにちは!返信が遅くなってしまいすみません💦続編は準備中なのでまだ公開していません。一章を切りがいいところまで書いたら投稿しようと考えているので、もうしばらくお待ちを☺️いつも読んでくださりありがとうございます!! (2022年5月1日 8時) (レス) id: dd87fda9ce (このIDを非表示/違反報告)
うい - コメント失礼いたします。以前より連載を応援していたのですが、まさかのフラグ作品になっていて個人的には凄く嬉しかったです!質問なのですが再度お知らせというタイトルの話の中で続編のリンクを…とか書かれていらっしゃいましたが既に続編が出ているのでしょうか? (2022年4月21日 7時) (レス) @page38 id: 9b5f66919f (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - 碧さん» はじめまして碧さん!グリムラルカから読んでくださっているんですねめっちゃ嬉しい……ありがとうございます😭❤グリムラルカに引き続き本作もフラグ沢山、背景たっぷり夢主自由奔放の世界線にするのでまた楽しんで頂けると嬉しいです!! (2022年4月16日 11時) (レス) id: dd87fda9ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ