▷ ページ11
「わすれたっていうか、その、思い出せないって言うか……そう、その……私、記憶がなくなっちゃったみたいで……」
我ながら、なんて苦し紛れな嘘なんだろう……
でも、言ってしまったものはしょうがない。思いつく限りの嘘御託を並べてやる！
「目が覚めたら、今までのこと全部忘れててね。自分でも何でか分かんないんだけど、昨日のこととか、その前の記憶がうまく思い出せなくて……その、もしかしたら記憶喪失とか、そういうのになっちゃったんじゃないかなー、なんて……」
これ、信じてくれるかなぁ……
本当に記憶喪失の人間なら自分で記憶喪失とか言わないよな、なんて自分でつっこみながら、ちらりとアヅミの様子を見ると、なんと、彼女は酷く驚愕したようにあんぐりと口を開けていた。え、うそ。
「で、では……幹部様のことも忘れてしまったのですか……！？」
信じてくれちゃった系ですか
「う、うん。断片的には分かるけど……その、顔とかが、全然分かんない」
「まぁ……！」
ノリと勢いで答えたら、信じられてしまった。よ、よかった……
内心ほっとしつつ憐憫を向けられて、一瞬罪悪感が過ぎった。ごめんね……騙したかった訳じゃないんだけど、このまま幹部の前に放り出されても困るから許して欲しい……
「この事は、……口外いたしません。首領のいない今、首領代理となる姫様が記憶喪失と知れ渡ったら、構成員達が混乱するでしょうから」
「……はい」
「幹部様方には、おいおい報告が必要かと思いますが……なんせ、数年ぶりの再会ですので、暫くは記憶があるフリをなさっていてください。何かと不都合が生じる部分は、フォローさせていただきます」
「ありがとう」
これで困ったらアヅミに助けを求められそうだ。
「記憶喪失以外に、体の不調はありませんか？」
「ううん、大丈夫」
「念のために、一度医者に診せた方が良いと思うのですが……実はこの後、幹部との会食の予定がありまして」
「会食？」
「はい。先程も申し上げたように、幹部が姫様と久しぶりに対面するので、近況報告も兼ねてお食事をなさるんです」
「全然行けると思うよ。何時から？」
「姫様の支度ができ次第です。まずはお着替えをしましょうか。お手伝いしますのでこちらへどうぞ」
そう言って、アヅミは部屋の奥につけられたドアを示す。慣れた足取りでそのクリーム色のドアへと向かうアヅミの後を私も追いかけた。
❥·❥·
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 414人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆん(プロフ) - sakatakanaさん» すみません、非公開にしてました……😖💦 今一部公開しましたので、よろしければどうぞ🥺💕 (2月2日 19時) (
レス) id: 247385b72e (このIDを非表示/違反報告)
sakatakana(プロフ) - パスワードはどこかに書いてありますか？教えていただけるとありがたいです！ (10月30日 19時) (レス) id: d5f34ff961 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん@クイポイのリンクが欲しい人は一報ください(プロフ) - ういさん» ういさんこんにちは！返信が遅くなってしまいすみません💦続編は準備中なのでまだ公開していません。一章を切りがいいところまで書いたら投稿しようと考えているので、もうしばらくお待ちを☺️いつも読んでくださりありがとうございます！！ (2022年5月1日 8時) (レス) id: dd87fda9ce (このIDを非表示/違反報告)
うい - コメント失礼いたします。以前より連載を応援していたのですが、まさかのフラグ作品になっていて個人的には凄く嬉しかったです！質問なのですが再度お知らせというタイトルの話の中で続編のリンクを…とか書かれていらっしゃいましたが既に続編が出ているのでしょうか？ (2022年4月21日 7時) (レス) @page38 id: 9b5f66919f (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - 碧さん» はじめまして碧さん！グリムラルカから読んでくださっているんですねめっちゃ嬉しい……ありがとうございます😭❤グリムラルカに引き続き本作もフラグ沢山、背景たっぷり夢主自由奔放の世界線にするのでまた楽しんで頂けると嬉しいです！！ (2022年4月16日 11時) (レス) id: dd87fda9ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
