愛してる ページ5
夢を見た。
貴方と私が、春の野原にいる夢。
辺り一面にハルジオンが咲く道を、二人で他愛もない話をしながら歩いていたら、貴方がふと立ち止まって、足元を指さした。
「シロツメクサやん」
「あ、ほんとだ」
「クローバーあるかな」
「どうだろ」
探してみる？探してみよう。
しゃがみ込んで草を分けた。2人して子どもみたいに夢中になっていい大人がなんだかなぁって笑いながらしばらく探したけれど、結局見つからなかった。幸運は簡単には手に入らないものだ。
「そっかー、ないかー。そりゃめったにないよねぇ。クローバーだもんねぇ」
けらけらと笑う私に、せやなぁなんて貴方も笑う。
「あれ、突然変異らしいしなぁ」
「そうなの？」
「人に踏まれて傷つくことで出来るんだってさ。だからこーゆー野原よりむしろ、道路とかに出来やすいらしいで」
「へぇ、なんだか身に染みる話だね」
そうして家に帰ろうとしてスーパーに寄った。なんの脈絡だったか覚えていないけど、たぶん、夕飯の材料を買おうとか、いつもの他愛もない話の流れからだと思う。
「あっ」
カゴを取ろうとして、手を止めたのは。
「あった」
「え？」
「四葉のクローバー」
カゴの隣にあったお客用の新聞紙が、クローバーの形をして置いてあったのだ。きっと誰かが作ったのだろう。
そのささやかな気遣いについ頬が緩んだとき、彼も「ホンマや」と顔を綻ばせる。そして、
「幸せがこんな近くにあったなんてなぁ」
ついで出てきたセリフに、思わず吹き出してしまった。
「どしたの？急にそんなキザなこと言って」
「いやぁ、一生分の幸せ噛み締めてんなぁーって思ってさ。二人で暮らせてるこの瞬間って、よく考えたら奇跡やし、二度とはない僥倖やねんな」
「……そうだね」
いつもなら、何言ってんのー？とか、ロマンチストだなぁとか、ちょっとからかう私なのだけど。
今日はやけ納得してしまって素直に頷いたら、彼が少し寂しそうな顔になって私の手を握ってきた。
指の間に滑り込む指。その温もりを握り返そうとした瞬間、私は夢から覚めてしまった。
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Ｒ−アル−(プロフ) - 長々とすみません、最後になりますが、素敵な作品を本当に有難うございました！完全なハッピーエンドではないですが、感謝と餞を花言葉とする花束で想いを伝え合うような、確かで曖昧な所とか本当に好きでした！！はばないすでぃ！！（馴れ馴れしくてすみません） (1月24日 1時) (
レス) id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ−アル−(プロフ) - 私は最近乗船したばかりなので、昔の解釈でのお話楽しかったです！！ゆんさんに余裕ありましたら是非とも今のセンラさん解釈での続きを読んでみたいです…！別作品も読ませて頂きますね！！ → (1月24日 1時) (レス) id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ−アル−(プロフ) - ゆんさん» いえいえいえ！！表記は全然分かりにくくなかったです！！読み込みがバグってたみたいでさっきはリンクが出てなくて……今はありましたので飛ばせて頂きました！裏話本ッッッ当に最高でした！！ → (1月24日 1時) (レス) @page18 id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - Ｒ−アル−さん» 本作の『制作裏話』のページにリンクを貼っているので、そちらの方からぷらいべったーに飛んでいただけると読めます！表記が分かりずらくてすみません💦少し訂正を入れたので、確認お願いします (1月23日 16時) (レス) id: 247385b72e (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ−アル−(プロフ) - すみません、裏話はどこから読めますか……？ゆんさんの作品一覧へ飛んだのですがこの作品が一番上でそれより新しいものを見つけられなくて……お教え頂けると幸いです！！ (1月23日 15時) (レス) @page18 id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
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