#赤緑の助言 ページ3
.
突然泣き出した私に少し戸惑いながらも、坂田さんは「地面にいるのもあれやから」と言って、ベンチに座らせてくれた。
「えっと、何かあったん？」
彼の質問に涙を拭いながら、小さく頷く。その様子を見て、坂田さんは「センラねぇ」と苦笑した。
「え……なんで分かったんですか？」
「だって、顔にかいてあるもん。センラってね。全く、アイツも女の子を泣かすかてギザな男やんなぁ……」
そんな事を言い、ため息をついて、ヤレヤレと首を振るもんだから、慌てて弁解しようとした。
「違うんです。センラさんは何にも悪くなくて」
「えっ？」
「わたし、私センラーなんです……」
驚いたように見開かれた坂田さんの瞳が揺れる。でも、今度こそはちゃんと説明がしたくて、謝りたくて。
「坂田さんの、お時間をください」
浦島坂田船の彼に、深々と頭を下げた。
そんな私を見ながら、やっぱり困ったようにしながらも、坂田さんは頷いてくれた。
出来るだけ簡潔に、でもちゃんと伝わるように事を纏めて、話すと「ナルホド…」と少し考え込む。
そして、よく澄んだ目を私に向けて、少し微笑んだ。
「センラにしっかり伝えておいで」
❖
"もしもし？"
男にしてはやや高めの声が電話越しに聞こえる。もしもし、とオウム返しをすると「なんだセンラか」とかったるそうな声がした。
"どったの？電話なんて珍しいじゃん"
「今度のレコーディング、何時にするか聞こうと思ったんよ」
"嘘つけ、どうせAちゃんの事だろ"
「……」
見事に当てられてしまったので、少し吃っているとうらたさんがため息をついた。
"何があったんだよ。今回だけ特別サービスで、うらた相談所の俺が聞いてやる"
「Aがラやった」
ポツリと告げる。何を言われるかと思ったが、うらさんは「それで？」と逆に聞き返してきた。
「それで、って……」
"問題はそこじゃねーだろ。Aちゃんはお前にただセンラーだって事だけを言いたかった訳じゃないだろうに"
それに、と言葉が続く。
"彼女がラだろーが、何だろーが、どっちにしろお前はAちゃんに愛されてんだろ？"
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 96人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユン(プロフ) - 七つ子さん» ひえええ、通知発見ありがとうございます！！喜んで貰えて嬉しいです。センラさんの大人っぽさ………キャスを聞いて勉強したかいがありました！笑このお話を読んで頂き、そしてコメントもありがとうございました！！ (2020年7月21日 18時) (
レス) id: ca6f64574e (このIDを非表示/違反報告)
七つ子(プロフ) - 完結おめでとうございます！この2人のちょっとだけ不器用な感じが大好きで、通知を発見する度に嬉しかったです。センラさんの大人っぽさも最高でした！約10ヶ月、お疲れ様でした！ (2020年7月21日 0時) (レス) id: e81a79aa4e (このIDを非表示/違反報告)
ユン(プロフ) - Taiga_さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてとても嬉しいです！！スロー更新ですが、良かったらこれからも読んでやってください！笑 (2020年6月24日 7時) (レス) id: ca6f64574e (このIDを非表示/違反報告)
Taiga_(プロフ) - 見つけて一気に読んでしまいました。めちゃめちゃドストライクです。これからも更新頑張ってください。 (2020年6月20日 23時) (レス) id: b01c4e7c8b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
