［16］ ページ17
_
一瞬言葉に驚いて、
ファン心理としては嬉しいな…ってすぐに冷静になった。
知ってる顔って大勢の中でもすぐに見付けられたりする、
多分それに近い。
『それは嬉しい…ね、笑
今度からコンサート行った時見付けてもらいやすい』
そう笑いながら言うと小さく溜め息の様なモノが電話越しに聞こえた。
中村｢[それ、多分言った意味わかってないし…
…Aちゃん、可愛い…から、すぐ目に入った]｣
『──ッ！？
いや、…いやいや！私そんな可愛くない…！』
思わぬ一言に一気に顔が熱くなる。
私より可愛い子なんて会場にはいっぱい居る。
中村｢[何言ってんの、めっちゃAちゃん可愛いからね？
つーか、こんな事言わせんな！流石に恥ずかしいわ笑
…それに、今度は見付ける、とかじゃなく事前に教えてくれればいいよ]｣
うみくんがそこまで言った後、
遠くの方で"海人ーー"と呼ぶ声が聞こえた。
中村｢[…やべ、もう行かなきゃ
あんま話せなかったけど、まだいっぱい話したい事あるし…
……また、…電話していい？]｣
『え、…うん、』
中村｢[…っしゃ、じゃあまたね！
｢かーーいーーとーーー！｣…わかったって、今行くー
…ごめん、おやすみ]｣
『はい、おやすみなさい』
定番の夜の挨拶を交わして通話は切れた。
うみくんの言葉に未だに顔の温度が下がらない。
話していた時間はほんの数分で…
約束してたコンサートの感想を伝えただけ。
緊張し過ぎて変な事言ってないと良いんだけど…
結局、留学については何も聞けなかった。
ファンとして聞きたい事はあるけど、
私だけが伝えられる、聞ける、
そんな特別な状態で良いのか…とも思う。
トラジャ担みんな、同じ様な気持ちがあるはず。
みんな、少なからず不安な気持ちがあるはずなのに。
そういえば、電話越しに遠くで聞こえた声はちゃかちゃんだったような…
そんな事を考えているとスマホから通知の音が鳴り、
確認すると先程まで電話をしていたうみくんで。
"これからミーティング〜"
"留学についてはまた話させて"
私の気持ちを察した様な文面がそこにあった。
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 408人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れおな | 作成日時：2023年2月12日 9時
