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《69》 ページ21

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泣く様な立場じゃない、ちゃんと分かってはいるけど



うみくんの優しさに触れる度、仲良くなる度に大事な存在になっていたのは確かで。


堪えていたモノはいつの間にか頬を伝って床に跡を残す。




泣かないでよ、そう聞こえた後に視界は暗くなり、うみくんの優しい手が頭を撫でる。



いつまでも優しいうみくんの腕の中で私は静かに涙を流した。








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どれくらい時間が経ったのか



少し落ち着いて呼吸が整い始めた頃、


中村「…もう大丈夫?」


その一言で、うみくんの身体からゆっくりと離れた。




『…うん、大丈夫。ごめんね』


中村「もう謝んなって、」


『…ごめん、』


中村「言ったそばから…笑」


いつもと変わらない笑顔を見せてくれるうみくんに何だかとても安心した。








中村「よし、Aちゃんも落ち着いたし、

俺はそろそろ帰るかな」





玄関先まで見送る為に後ろを着いて行く。



私はまだうみくんにちゃんと気持ちを伝えていない。



靴を履き終え私の方を振り向いたうみくん。


一つ呼吸をして、うみくんを見据える。


『私の事好きになってくれて、
……ちゃんと伝えてくれて、ありがとう

……うみくんの気持ち、本当に嬉しかった』




きちんと伝えてくれた気持ちにはきちんと応えたくて。


私はそんなうみくんではなく海斗くんを好きになってしまったけれど…



嬉しい気持ちに嘘は無いから。

それだけは伝えたかった。






中村「嬉しい……か、そっか、…うん。なら良かった!
ちゃかの事、いつでも相談乗るからね」



そう言って白い歯を見せながらニコニコと笑ううみくんはとても眩しくて。





『……うみくん…ありがとう、!』


友だちとして、だけど

やっぱりうみくんは大事な人。


そんな思いが込み上げてきて、もう一度笑顔で感謝を伝えた。





中村「っ、…ごめん、やっぱもう一回だけ、」


引き寄せられた身体は吸い寄せられる様にグッと近付く。


強く抱き締められた身体は全然身動きが取れなくて



中村「決心弱過ぎ…」


少し緩んだ力と上から小さく聞こえた声。

暗くなった視界では表情は窺えなくて…




そのままもう一度強く抱き締められ、


中村「Aちゃんには俺がついてるから。

……それだけは覚えといて、」


その言葉を残して、"じゃあね"とうみくんは部屋を出て行った。




ゆっくりと音を立てて閉まるドアを私はただただ見つめる事しか出来なかった。






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れおな(プロフ) - 宮近くん大好きさん» 数ある作品の中からこの作品に出会って頂きありがとうございます!リクエストもありがとうございます!連載中の作品もある為少しお時間を頂く様になるのですが、リクエストにお応えしたいので気長にお待ち頂ければ幸いです。 (3月7日 3時) (レス) id: 23908185a8 (このIDを非表示/違反報告)
宮近くん大好き - 初めまして。宮近くんの小説を捜してたら辿り着きました。番外編のリクエストです。妊娠疑惑のお話と妊娠&出産のお話をお願いします (3月5日 19時) (レス) @page36 id: a964eda7da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れおな | 作成日時:2021年1月24日 11時

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