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《47》 ページ48

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とっくに終電も終わってしまった午前4時。


流石に仕事終わりで大学生の時みたいにオールしたりする気力も元気も無く。



最寄り駅が近い2組に分かれ、お店の外でタクシーを拾う事にした。


美咲「またね、A!」

中村「Aちゃん、また連絡する」


『うん、三人共またね!』




中村「ちゃか、Aちゃんの事よろしくな」


宮近「どうせ同じマンションだし笑」


中村「うわ、ムカつくわー。ばーか、笑」




先にタクシーに乗り込んだ三人に私達は手を振りながら見送った。


松倉くんは解散の少し前から眠気がピークに達していたらしく、ふらふらと乗り込んだ後すぐに美咲の肩に頭を預けていた。



宮近「じゃあ俺らも帰ろっか」







.







運転手さんに住所を伝えた後の静かな空間は少し緊張してしまって…


何か話そうにも上手く言葉が出てこなくて。



普段話してた何気ない内容ですら分からなくなってしまった。


ただただ静かに流れる外の景色を眺めていた。





そんな沈黙を破ったのは海斗くんの方で。


宮近「今日楽しかったね」


『うん、三人共スゴく歌が上手でびっくりした』


宮近「それはこっちの台詞なんだけど笑」


はは、と笑う聞き慣れた海斗くんの声。



海斗くんの歌声はいつもよりも少し甘くて。


高過ぎず低過ぎずな歌声はとても耳心地が良かった。





曲がり角で少し揺れた車内。

ほんの少しだけ海斗くんと手が触れた。



その後も離れるわけでもなく、近付くわけでもなく。


私の左手の中指と、海斗くんの右手の人差し指が触れているだけ。




再び訪れた沈黙に先程までの緊張感は無くなっていて。


静かな時間が流れる中、

いつの間にか私は眠ってしまっていた。








.








……!おーい、A!


名前を呼ばれて目を開けると、目の前には綺麗な海斗くんの顔。


宮近「やーっと起きた。もう着くから起きて、」


少し意識がはっきりすると、海斗くんの肩にもたれかかっている事に気付いた。


『…わ、ご、ごめん!重かったよね』


宮近「いや、全然…よく眠ってたね笑」


『お陰さまで…』


寝顔を見られた恥ずかしさと申し訳なさで一気に顔が熱くなる。




宮近「……あ、着いた。さ、降りよ」


鞄から財布を出そうとした時には既に払ってくれていて。



宮近「足元気を付けて」


その言葉と共に、先に降りた海斗くんは腕を伸ばして、降りる私の手を掴んでくれた。







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作者名:れおな | 作成日時:2020年12月10日 6時

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