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『えっと…大学の時の後輩で……』
松田「初めまして！松田元太って言います！」
私の言葉を遮りながら先に自己紹介をした元太くん。
宮近「あ、…宮近です、」
友だちの付き添いで入ったサッカーサークル。
マネージャーとして、だけど。
その時の二つ下の後輩。
将来サッカー選手になる！なんてよく言っていた。
もちろんサッカーは上手で。
元太くんは人懐っこくて、誰からも好かれ、皆に可愛がられていた。
その時から全然変わってない笑顔に懐かしさを感じた。
『元太くん久しぶり！ここでバイトしてるんだね』
松田「そうなんすよ！A先輩は相変わらず可愛いっすね！笑」
少し高い位置からニコニコしながら頭を数回ポンポンされた。
『もー、また馬鹿にして…！』
松田「違うっすよ！A先輩全然変わってなくて可愛いなーって思っただけです！」
『卒業してからまだ1ヶ月くらいしか経ってないでしょ！笑』
"あ、そうでした"なんて舌をぺろっとだす仕草。
時々出る抜けた発言は相変わらずで憎めない可愛い後輩。
宮近「…A、先戻っとくよ」
少し話し込んでしまっていた私達に遠慮がちにそう告げて、海斗くんは部屋のある方向に向きを変えた。
松田「あ、あの！……宮近さんって、A先輩の彼氏、さん…っすか？」
背中を向けた海斗くんに突然そんな質問を投げ掛けた元太くん。
『っ！急に何言ってるの！？』
さっきよりも顔が熱くなる感覚を覚えながら、"違うから！"そう否定しようとした時。
先に後ろから質問に対する答えが聞こえた。
宮近「んー、仲の良い同僚で友達。
…それ以上、恋人未満って感じかな、笑」
冗談交じりの様な言葉と笑顔を見せながら海斗くんは言った。
そして私を通り過ぎた海斗くんは小声で元太くんの耳元で何か言っていた。
もちろん私には何も聞こえるはずがなく。
"じゃあお先に"その言葉を残し、海斗くんは先に部屋へと戻って行った。
松田「宮近さん、てっきりA先輩の彼氏さんかと思いました」
『ほ、本当に違うよ…！』
松田「A先輩鈍いっすもんね笑」
小馬鹿にした笑いをしながら、A先輩が変わってなくて安心しました、なんて言われた。
松田「あ！先輩、何号室ですか？」
『16号室だよ』
松田「16っすね！了解っす！
…じゃあ俺も戻ります！」
手を振りながらスタッフ専用スペースに戻って行く元太くんに私も手を振り返した。
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作者名：れおな | 作成日時：2020年12月10日 6時
