《35》 ページ36
_
『すみません、ちょっと散らかってて…』
宮近「いや、全然。めっちゃ綺麗じゃん」
部屋に入った瞬間、先程香った匂い。
この匂い好きかも、なんて。
そんな事言ったら変に思われるから言わないけど。
間取りは俺の部屋とほぼ同じだけど、家具とか、置いてある物は女の子の部屋って感じ。
でもあまりごちゃごちゃしてないシンプルな部屋。
宮近「…これ、可愛いね」
目に止まったのはとある照明。
月と星のモチーフで、この部屋によく合っていた。
『あ、それちょっと前にうみくんと出掛けた時に見付けて…』
宮近「…ふーん、そうなんだ、」
自分から振っといてこんな返し方しか出来なかった。
海人の名前が出た瞬間モヤモヤして。
宮近「…海人も、ここ……入った事ある？」
気付いたら言葉にしてしまっていた疑問。
俺を招いてくれたって事は海人も……。
特に何も行動に移せていないのに海人にちょっと嫉妬したりして。
『うみくんですか？中にはないですよ』
キッチンからは予想とは違う答えが返ってきて、あの海人が？なんて思ったり。
少し安心したような、嬉しいような感情。
俺だけ、って何か特別な気がして。
やっぱりAさんの事好きなんだ、って再確認。
『……どうぞ、……って、何で立ってるんですか笑』
両手にマグカップを持ったAさん。
女の子の部屋ってちょっと珍しくて、キョロキョロと部屋を見回してしまった。
"そんなに見られたら恥ずかしい"、その言葉が可愛くて。
宮近「俺、妹いるんだけど、こんな可愛い部屋じゃねーもん」
『そ、…そうですかね？普通ですよ？』
そうやってまた照れた顔を見せる。
せっかく家に入れてもらったから。
ちょっと勇気を出して
座る君の横に静かに腰を下ろした。
ちょっと驚く表情には気付かないフリ。
全然触れる様な距離じゃないのに。
20センチ程の距離が妙に近く感じて……
『……あ、テレビ！宮近くんテレビ見ま「海斗、」…えっ？』
宮近「海斗、って呼んでほしい……
…俺もAって呼んでいい？」
海人と仲良くなってるのが羨ましくて。
俺も、なんて欲が出てきて。
『……か、かい、と……くん、？』
宮近「うん、なにA？」
名前を呼んでくれるだけで嬉しくなる俺って結構単純。
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 916人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れおな | 作成日時：2020年12月10日 6時
