《34》 ページ35
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━━━ 宮近side ━━━
店を出て歩き出そうとした時。
少し前に居たAさんが転けそうになった。
咄嗟に腕を引いて腰に手を回して支えた。
宮近「……っと、Aさん大丈夫？」
危なかった……
驚きながら振り返るAさんの顔との距離が意外と近くて。
色んな意味で心臓が煩く鳴った。
『ご、ごめん！ありがとう…！』
言葉と共にAさんはすぐに離れようとした。
その時ふわっと少し甘い匂いが鼻を掠めた。
瞬間、俺の中でもっと近付きたいって欲が出てきて。
まだAさんと離れたくない。
だけど、また引き寄せる勇気は無くて。
宮近「今みたいな事あっても絶対助けてあげられる訳じゃないから…
……嫌かもしれないけど、今だけ」
そんな最もらしい言葉で二人の手を重ねた。
.
電車を降りて、無言で歩く帰り道。
話題を振る事も出来ない。
だけど、不思議と居心地は悪くなくて。
Aさんも俯いたまま、半歩後ろを着いて来る。
二人の手は繋がれたまま。
十数分の間、会話が交わされる事は無く、見慣れたマンションに着いた。
エレベーターに乗り、Aさんの降りる階を押した。
その階だけ。
すぐにエレベーターは止まり、
Aさんの手を引いてエレベーターを降りた。
宮近「…何号室？」
『305、です…』
宮近「ん、わかった」
エレベーターから続く廊下を端まで歩いた。
『…えっと、……鍵』
鞄を探り始めた為、自然と離された手が惜しくて。
まだ一緒に居たいのに。
鍵を回す音と共に二人の時間ももう終わり。
『…あの、少し上がっていきますか？』
コーヒーでも、なんて。
俺にとって都合のいい事がAさんの口から発せられる。
宮近「いいの？」
『…はい、』
宮近「……じゃあ、お邪魔します」
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─────────
更新遅くて申し訳ありません。
次回も宮近くんsideになります！(予告)
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作者名：れおな | 作成日時：2020年12月10日 6時
