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配る資料は10P。
それを細かく説明するとなるとなかなかの説明量に。
幸い動画の一部は資料集めの時に一度保存したモノが残ってたので、そこまで時間は掛からなかった。
それでもすでに時計は17時半を過ぎていた。
気持ちばかり焦るだけで、私の能力は追いつかない。
どうしよう、間に合わない。
涙が溢れそうになりかけた時、
「…はい、どうぞ」
目の前に置かれたコーヒー。
声の聞こえた方に顔を上げると、先程出ていったはずの彼。
『え、宮近くん…何で…』
宮近「んー、何かAさん困ってたみたいだし、気になって戻ってきた」
私の様子が気になり、駅まで行った所で戻ってきてくれたらしい。
宮近「…明日のやつ？」
私の前にあるパソコンを覗き込みながら、宮近くんが問う。
『そうです、保存してたはずなのにデータが無くて…』
宮近「あー、それで作り直してたのか
……よし、一緒に早く終わらしちゃお」
お借りしまーすって宮近くんは隣のデスクに座り、纏め資料を確認する。
『いや！これは私の仕事だから…
宮近くんにご迷惑を掛ける事になるので…』
宮近「何言ってんの、迷惑なんて思ってないよ？
この部署唯一の同期なんだから、困った時は頼ってよ」
正直このままでは絶対に間に合わない。
素直にご厚意に甘えさせてもらう事にした。
『宮近くん、ありがとう』
宮近「お礼はこれが終わってからね笑」
『はい！』
宮近くんは普段もテキパキと物事をこなせる事を私は知ってる。
すごいなーっていつも見てた。
.
時刻は21時前。
隣でパソコンを閉じて待つ宮近くん。
あとは私が今入力しているのを保存したら完成。
『……出来た！』
宮近「うん、お疲れさま」
労いの言葉と共に、頭の上に宮近くんの手が置かれ優しく撫でられる。
その瞬間、安堵からか涙が溢れた。
宮近「…っ！ちょ、Aさん！？何で泣くの！？」
『安心して……宮近くん、本当にありがとう』
宮近「焦ったー…
いいえ、どういたしまして」
目尻が下がった優しい笑顔に、一瞬胸が高鳴った。
…あ、そうだ！
『何かお礼、させて下さい！』
宮近「え、別に気にしなくていいよ」
そう言ってくれるけど、それでは私の気が済まない。
『だめです！何かさせて下さい！』
んー、じゃあ……と考えながら、少しの沈黙。
宮近「明日の仕事終わりのAさんの時間、俺にちょうだい」
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作者名：れおな | 作成日時：2020年12月10日 6時
