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━━━ 中村side ━━━
少しでも長く一緒に居たくて。
いつもよりも歩幅を小さく歩いた。
ゆっくり、ゆっくりと。
だけど、十数分の道なんてあっという間で。
お礼にお茶でも…、そうAちゃんは言ってくれたけど。
まだそこまで意識してはくれてないね。
中村「いや、今日はもう帰るよ
…じゃあAちゃん、またデートしようね」
『え、あ……うん。またね』
そう言って何回か振り返っては手を振りながらマンションに入っていく姿を見送った。
あー、勿体ない事したかな。
でも好きな子にはフリだけでも、
少しでも紳士的に接したくて頑張った。
来た道を戻ろうと踵を返すと、
少し遠くに三人組の内の一人の"かいと"が見えた。
中村「…あれ、ちゃかこんな所で何してんの?」
声を掛けると一瞬驚いて、すぐにいつもの表情に戻った。
宮近「さっきまで松倉の家にいたから、」
海人こそ何で、って逆に質問で返された。
俺の質問に対しての返答は無くて。
まぁ最寄り駅がここだから居てもおかしくないか、なんて勝手に納得した。
中村「んー、ちょっとね笑」
そう返すと、"あっそ"って興味無さそうに。
Aちゃんをマンションに送り届けに来ました、なんて勝手に教えたくないし。
中村「ちゃか、じゃあまた呑みに行こうね」
宮近「おう、また」
ちゃかが進む方向とは逆方向に歩みを進め、
今日のAちゃんとのデートを思い出しては、顔が緩みそうになるのを必死で抑えた。
振り返ると、ちゃかの姿はもう見えなかった。
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作者名:れおな | 作成日時:2020年12月10日 6時