《18》 ページ19
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━━━ 宮近side ━━━
海人の気持ちを汲んで時間をズラした飲み会の帰り道。
結局コンビニで海人と先に帰って行ったAさんと偶然会った。
Tシャツに長めのカーディガン、ショートパンツという格好。
こんな時間にその格好で出歩くのはちょっと危ないと思うよ？
先に会計を済ませて外で待つけど、なかなか出てこなくて。
様子を見ると、棚の前で悩んでた。
アレもコレもと商品を手に取っては棚に戻しを繰り返す姿が見えた。
ようやく出てきたAさん。
近所だと言うから、家までの数分間。
今度は俺が送る事にした。
せっかく海人が送ってったのに、ここで何かあったら意味が無い。
……そんな言い訳みたいに理由を探してしまったのは何でだろ。
会社では見せなかった表情を見せてくれる様になったAさん。
よく笑ってくれる様になった。
いつもより幼く見えるのは化粧をしてないせいかな。
こっちも可愛いな、って。
しばらく歩くと見えてきたマンションの前で、Aさんはここだと止まった。
偶然にもいつも俺が帰る場所。
まさか同じマンションだとは……
宮近「こんなに近くだとは思わなかった笑」
『私もです笑』
二人で起こった出来事に笑っていると、立ち止まりスマホを取り出したAさん。
楽しそうに誰かとやり取りをしてるみたいで。
少し見えてしまった画面には、"日曜楽しみにしてる"と書いてあった。
宮近「何か良い事あった？」
なんて白々しく聞くと、メッセージの相手は海人だったようで。
宮近「…海人、良い奴だよ」
この言葉には本当の気持ちと、少しもやもやした気持ちが混ざってて。
『そうですね、…仲良くなれそう』
俺の方が先に出会ってたのに。
海人の気持ちに気付いてしまっているから、
連絡先を聞くのに躊躇った。
でもAさんはただの同僚だから。
そんな言い訳みたいな言葉をまた探して。
先にエレベーターを降りてこちらに手を振る姿。
気付かれない様に"開"ボタンを押しながら。
宮近「今日みたいに帰りが遅くなる時は連絡してくれていいよ、」
何でも良いから。
彼女との時間を作りたかった。
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作者名：れおな | 作成日時：2020年12月10日 6時
