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《15》 ページ16

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中村「どっち?」


『あ、こっち』


駅を出てすぐの分かれ道。

指を差しながら自分の家の方向を伝える。





『わざわざごめんね、』


中村「何が?」


『だって、遠回りになっちゃうでしょ?』


中村「あー、そんな事…
俺がしたくてしてるからいーの」


自然と隣を歩くうみくん。



仕事が始まってこの時間にこの道を歩くのは初めてで。


少し薄暗く人通りが少なくなった道。


やっぱりうみくんが来てくれて良かったかも…なんて。




中村「ごめんより、ありがとうのが嬉しいかな」


『うん、…ありがとう』


どういたしましてー、なんて優しく笑いながら、大きな手が頭に乗せられそのまま撫でられた。





15分程歩くと見えてくるどこにでもあるようなマンション。


5分くらいの場所にはコンビニもあって結構便利。




『うみくん、本当にありがとうね』


中村「いえいえ、これくらいなんて事ないよ

……じゃあ、またね」


来た道を戻って行くうみくんを見送るように眺めていた。


するとすぐにこちらを向き直し、小走りで戻ってきた。




『どうしたの?』


中村「明後日、………日曜、空いてる?」


『日曜…?』


確か何も予定はなかったはず。


そう伝えると、


中村「じゃあ空けといて、遊びに行こ」



突然のお誘い。

今日は楽しかったし、もっと仲良くなりたいと思った。


『あ、うん!他に…「二人で、」』


誰か誘う?と言いかけた時、私の言葉はすぐに遮られた。




中村「……俺と二人は、嫌?」


『ううん、そんな事は…』


中村「よし、決まり!また連絡する!」


うみくんは笑顔で手を振りながら、再び駅へと続く道を戻って行った。



部屋に入り、少し酔った身体を覚ますようにすぐにシャワーを浴びた。




部屋着に着替え、冷蔵庫を開けると空っぽで。


水すら無いとか……


コンビニ近いしこのままでいっか。

薄手の上着だけ羽織り、コンビニへと向かった。







.







ドリンクコーナーへ向かう途中、ふと目に入った雑誌コーナー。


日曜何着て行こう……



パラパラとファッション誌をめくり、自分が持っている服を頭に浮かべながら考える。




不意に顔を上げると、コンビニに入ろうとしていた彼と目が合った。


何でこんな所に……?




そんな疑問を持ちつつ、雑誌を閉じて私も入口に向かった。







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作者名:れおな | 作成日時:2020年12月10日 6時

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