身代わり大尉の帝国奮闘記【wrwrd】【d!】 (ページ10)

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大尉、医務室送りだってさページ10

帝国に来てはや1週間が経った。
王国側の人間としては何が起こるか分からない、と結構身構えていながらの生活をしていたが場所が帝国になっただけの特に何も変化のない7日間だった。

自室以外の場所には出歩くことはせず、ずっと部屋の中で体を鍛えることか王国が送ってきた資料を読むことで時間を潰していた。王国にいた時は相棒を乗って国内を飛び回るか、セナの所で仕事の手伝いをする程度の生活をしていた。

(なんか、ちょっとだけ)

────拍子抜けしちゃうな。

幹部や兵士が歩き回る本館と違い、別館の最深部に居るのもあってここに来るのは食事を持ってくるメイドだけだった。帝国側からの施しで身の回りの世話も任されていたようだがそれは丁寧にお断りした。

本当の姫なら身の回りにメイドが居ることは当たり前だろうが私は軍人だったのだ。そういう好意は受け付けられない。

(それにこんな姿見られたら本当に姫なのか疑われるしね)

1人だから、と私はドレスやワンピースではなく訓練用に着るTシャツとズボンで体を鍛えていたところだった。まずドレスは1人で着れるものではないし、ワンピースだって動きにくい。
与えられた自室に私以外居ないのをいいことにこのスタイルでいるが、帝国でこの姿を見られたら間違いなく疑われるだろう。

1週間誰もこの部屋には来ていないのだから、まあ…もう今後来訪者はいないだろう、と思っているからこの格好でいられるのだ。まだ食事の時間でもないし、もし誰か来てもクローゼットに仕舞われてるワンピースでも着こなせば大丈夫だろう。

それにしても。

「暇だなあ、ここ」

与えられた自室に私が読むような本は一切置かれていないし、窓から見える景色―主に牧場と作物が育てられている麦畑。広がるこの景色もそろそろ見飽きた。

植物の1つでもあれば愛でる時間も生まれたかもしれないが、そういう類も一切ない。あるのはベッドと机、あと誰が描いたのか分からない絵画くらいだ。移動すれば水周りもあるが娯楽と呼べるものが一切ないのだ。
セナだったら確実に部屋を飛び出して城下に繰り出している環境である、実際私も飛び出したい。

一応行っても良い図書館や中庭に行けなくもないのだが、そういう場は必ず監視がつく。軍人だった私が王女としての振る舞いを完璧に行える自信がなくて図書館や中庭には行けないのだ。意識していても軍人としての潜在的な癖が出てしまったりするかもしれない。

それを見られでもしたら。