身代わり大尉の帝国奮闘記【wrwrd】【d!】 (ページ9)

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(─ま、過ぎたことだし今はそれよりもやることがあるじゃないか)

過去の事を考えすぎて少し疲れた。
目をあけるとベッドからのそり、と起き上がり王国から届いた荷物を開封する作業を始めた。

送られてきた箱の中には王国に住んでいた頃から使っていた生活必需品と王女としての務めである近辺国の政治の内政状況についての資料が入っていた。

後者については大方いつ王国に帰ってきても状況が分かるように、とでも配慮されて入れられたのだろう。
ありがた迷惑である。

残りの必要物を全て出し終え他には何かないかと、底の深い箱の中を手探りで漁るとコツン、と何か硬い物が当たった。

──写真立ての様だ。
中の写真を見ると1年前にセナと相棒のハンターの前で撮った写真だった。
私はヘルメットとゴーグルを装着して敬礼を、セナはヘルメットを脱いで片腕で持ち万遍の笑顔を零している。

戦争前最後に撮った写真がこれだったからとても大事にしていたものだった。

1年前まではこんな幸せな時間が続いていた。だがそれが今となっては────。
懐古を懐かしんでも、現在と過去を比べても今の絶望的状況が変わるわけではない。今自分に出来ることはここから王国へ帰り、セナとまたくだらない話をするために何があっても生きるしかないのだ。

写真を数十秒ほど見つめるとパタリ、と写真立てを机の上に伏せた。