身代わり大尉の帝国奮闘記【wrwrd】【d!】 (ページ7)

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執務室から出ると金髪は別館にある自室と思わしき部屋に案内された。自室に足を踏み入れると金髪は満足そうに頷き帰って行った。バタン、と閉じられた扉を確認してから1人ベッドに寝転んだ。

ドレスが皺になるだろうが、今は緊張する場所から脱出したことの安心感で何も考えたくない。

ベッドで仰向けになって見えるのは天幕と天井くらいだったが、それを見ても相当豪華な部屋だ。
捕虜であるがそれ以上に戦争に何1つ関わっていない王女だから高待遇なのだろうか。
それが配慮されてるにしても何故か優遇されすぎな気がする。

それだけセナの事に対する評価が高いのだろう。そう思うと自分の事のように少し嬉しくなった。

私は気づけば目を閉じてセナについて思い出していた。

セナはノースリット王国唯一の王女で、国では女神として扱われている。
それもそうだ。数世紀に一度と言われいた農作物の不作によって起きた大飢饉で苦しむ国民達へ国外から大量の小麦を輸入する手配を迅速に行ったり、国内での痩せた土地でも大量に作ることのできる作物を皆に教え、王女自らその場に赴き自身の手で国民達と共に農作業の始めから終わりまで丁寧にやり切ったのだから。

本来王女が城から出て何かをする事自体、国民達からすると驚きだったのに自分達と一緒に畑を耕し、種を撒き、水をやった。それも収穫するその時までの殆ど毎日。

そんなセナに国民達が向ける敬意が今まで以上の確固たるものへと変化するのは当たり前だった。

セナは本当に王女として国民の事、いや王国に対して高い志を持って毎日勤勉に努めている。
だから長く続いた帝国との戦争がやっと終わって疲弊した王国に絶対的な女神、─セナは必要不可欠であった。