身代わり大尉の帝国奮闘記【wrwrd】【d!】 (ページ13)

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はーい、とカルテにまた書き込むとしんぺい神さんはベッドから立ち上がった。サイドテーブルにそれを置くとん、とこちらに手を出てきた。

「あの、まだ何かありましたか？」

pe「ん〜？まだ全然あるよ？寝不足続きって事は体のどこかが良くないことを起こしてるかもしれないからね。身体検査と血液検査もやっておこうと思って」

さ、いこうか。と出されたその手が悪魔の手に見えた。

――

pe「はい、最後は血液検査だけどセナちゃん注射は平気？」

「大丈夫です。…あの、しんぺい神さん」

注射を用意しているはずの彼の手は何故か検査着にのびていた。
検査着は半袖で肘から下の素肌は見えていたがそれより上を見ようとしてするり、と左腕の服の袖を捲るその手が肩まで到達するとぴたりと止まった。

pe「…、やっぱり」

左の肩。

そこはこの前の戦争の時に木の影に隠れていた帝国兵の銃撃を受けた場所だった。当時は弾丸が貫通せずに留まっていて摘出するのは中々辛かったが、今は包帯も取れているし銃創が出来ているだけだった。

でも、なぜ彼はピンポイントでこれを見つけ出したのだろうか。
やっぱりと言っていたが彼は何を知っているのだろう。

なぜ、と聞こうとする私の前にしんぺい神さんは答えた。

pe「セナちゃん、君寝てる間魘されてたんだ。床で寝転んでて本当に王女様か？って観察してたら途中から痛い、って体を丸めて何度も言っててさ。」
「見るに耐えなくてここに連れてきたんだ。本当は君の部屋で診察するつもりだったけど、そんなの見たら医者としてほっとけなくてね」
「診察中に左肩が動かしずらそうだったから、もしかしてって思ったの。…当たってたね」

面布で表情は分からない。だけど声で彼の気持ちを読み取れた気がした。ああ。これは、同情でも嫌悪でもなく──

面布を退けて浅葱色とかち合った。

pe「ねえ、君。いつこの傷つくったのさ。」

───。