29回表 ページ9
「ちょっと〜前園く〜ん、俺の可愛いAちゃん独り占めしないで貰えます〜？」
「はぁ！？しとらんやろが！」
「一也重い暑いむさ苦しい」
「酷い！」
ぶーっと拗ねた表情の一也を背中から退かすとバットを持っている事に気が付いた
「あれ、一軍は別メニューのはずじゃ」
「なんか俺だけフリーバッティング参加して来いって」
「まぁあんたランナー居ないと打てないしね、フリーだと大体三振」
「勝負強いって言ってくんね？」
「物は言いようだね」
「で、Aにアドバイスもらおうと思って」と語尾にハートがつきそうな言い方をされた、可愛いけど可愛くないよ
「一也は別に打てるんだから、もう殆ど運だよね、あとフリーの時の読み外し過ぎ」
「ほんとお前みたいに毎打席ポコポコ打てりゃ良いのにな」
「私もポコポコ打ってる訳じゃないけど！？」
そう言いながらまた打席に立つ
マウンドに居る投手に合図を送りピッチングフォームに入ってもらう
「(狙った位置、ドンピシャ…っ！)」
今度は出来るだけ落ちる位置もコントロールする
通常の守備位置に着いていると仮定してセンターとセカンドがすぐにカバーに行けない場所に落とす
「う〜〜〜ん〜〜〜こりゃ気持ちぃ…」
「は？もしかして狙った？落とす位置狙った？」
「これだからミートするのは止められない」
「御幸！！こいつほんまに女子か！？人間か！？」
「…どちらかと言えば人間寄りの化け物だな」
なんか酷い事言われているが無視だ無視、とバットを握り直す
すると左の親指に違和感を感じ確認する
「あちゃー、予備のバッテも破れちゃった」
「次の人打席入っていーよー」と声を掛け一也とゾノの元まで行くといつの間にか倉持も集まっていた
「お、もう終わりか？」
「いや、バッテ破れちゃって」
「バッテ破れるてどんな握り方しとんねん！」
「私の体格じゃどう足掻いても男子の投げる球速に押されちゃうから、フォーム崩さない程度で持ってかれないように親指に力入れてるんだよねぇ、メインのバッテは引退試合の時に破いちゃってこの予備使ってたんだけどついに買いに行かなきゃかぁ」
「マネージャーに頼むか？」
「流石にそれは悪いから監督に言って午後すぐに買いに行ってくるよ」
素手でのバッティングは流石に痛いので渋々皆が打つのを眺めながら癖でも見つける事にした
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作者名：とらお | 作成日時：2022年9月14日 23時
