46回裏 ページ44
「日本代表チームのキャプテンを務める、帝光女学院二年三河智恵、ポジションはサードよ、よろしく」
「よろしくお願いします」
「じゃあ説明するから着いてきて」
ベリーショートのいかにもスポーツ女子、という人が出てきて私と握手を交わす
ふむ、いい具合にバットを振り込んでそうな良い手だ
うちの子達には負けるけど
「少し聞きたいのだけど」
「どーぞ」
三河さんの隣を歩きながら軽い説明を受けていると、急に私のウインドブレーカーの胸元を見て彼女は首を傾げた
「青道って男子野球部しかないわよね？貴女、選手じゃないの？」
「練習には参加してますよ、まあ元々高校で野球やるつもり無かったんで」
「…監督は現役じゃない子を日本代表に選んだってこと？」
「公式戦に出る出ないを現役、というならそうですね…まあ野球人としての実力ならここにいる誰よりも勝ってる自身はありますけど」
「…なるほど、監督が上に無理言ってまで貴女を連れてきた理由がよく分かったわ」
「捕手向きの良い性格ね」と言われたので「どーも」といい笑顔で返しておいた
グラウンド15周から始まった帝光での練習
ポジション毎のメニューからチーム間でのメニューまで様々
普通の女子にはキツイだろう走り込みメニューも、あの地獄の夏合宿を経験した私からしたら少し汗をかいた程度だった
「あ、貴女、化け物なの…？」
「男子のメニューに比べりゃ軽いもんですよ、青道ではアップメニューですよこれ」
「男子と一緒にすんじゃないわよ！」
「一体何食べればそうなるのよ！」
「白飯三杯」
「「ウッ…！」」
いや、聞いてきたのアンタらだろ、吐くなよここで
他の選手たちも何故かケロッとしている私を見て「ば、バケモノォ」と零していた、誰がだおい
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作者名：とらお | 作成日時：2022年9月14日 23時
